(ブルームバーグ):財務省が4日に実施した新発30年国債の入札は、投資家需要の強弱を反映する応札倍率が過去12カ月平均とほぼ同水準だった。市場では無難な結果との受け止めが出ている。
入札結果によると、応札倍率は3.31倍。過去12カ月平均は3.38倍で、前回8月は3.43倍だった。最低落札価格は92円80銭、市場予想は92円90銭だった。
明治安田アセットマネジメント債券運用部の大﨑秀一シニア・ポートフォリオ・マネジャーは「警戒されていた割に無難な結果だった」とし、入札で債券相場が崩れなかったことは安心材料だと話す。ただ、政治不透明感があり、「今回の結果を受けて買いが入り、利回り曲線がフラット(平たん)化するような状況にはなりにくい」とみる。
入札結果を受けて長期国債先物9月物は上げ幅を拡大、新発30年債利回りは前日比4ベーシスポイント(bp)低い3.24%に低下している。

7月の参院選大敗を巡り、自民党の森山裕幹事長が辞意を表明するなど政治流動化のリスクが高まっている。世論調査での支持率改善を背景に石破茂首相は当面続投する考えだが、党内で「石破降ろし」の動きはやんでいない。政権交代に伴う財政拡大リスクへの警戒もあり、30年債利回りは3日に3.285%と1999年の発行開始以降の最高を更新した。
防衛費の増額や財政支出拡大への懸念を背景に、世界的にも超長期債への売り圧力が増している。30年債利回りは今週、米国で一時5%の大台に近づき、英国では98年以来、フランスで2009年以来の高水準を付けた。
ブルームバーグ・ストラテジストの見方:
日本の債券投資家にとって、30年国債入札に堅調な需要が見られたことは安心材料となった。ただし、G10の超長期債を取り巻く国際的な環境は依然不安定で、今後しばらくの間、日本国債利回りが大きく低下する可能性は低いとみられている。
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SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、30年債入札について、投資家の需要が高まりやすい期末要因に加え、前日に世界的な金利上昇が一服したことから買い安心感があったと分析。無難な結果だったとした上で、「政局の先行き不透明感を背景とした財政拡張懸念は変わっておらず、引き続き金利上昇圧力がかかるだろう」と話した。
(30年債利回りの水準を更新し、ブルームバーグストラテジストの見解を追加します)
--取材協力:日高正裕.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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