(ブルームバーグ):資産家のポール・チューダー・ジョーンズ氏が出資するクラウドソーシング型ヘッジファンド、ニューメライが、JPモルガン・チェースの資産運用部門からの大規模な投資を受け、2倍以上の規模に拡大する見通しとなっている。
今後1年で最大5億ドル(約740億円)を投資するコミットメントをJPモルガン・アセット・マネジメントから得たと、ニューメライが明らかにした。現在の運用資産は約4億5000万ドルだという。
ニューメライはフリーランスの金融系クオンツから集めた取引アイデアを基に株式の売買を行っている。これらのクオンツは、同社が発行する独自の暗号資産(仮想通貨)で報酬を受け取り、自らのアイデアに同通貨を賭けることで自信の度合いを示すという。
2019年に最初のファンドを立ち上げたニューメライは、24年に25%のリターンを記録した。23年は大きな損失を出したが、回復して15カ月連続でプラスの運用成績を維持し、JPモルガンの目に留まったという。
創業者のリチャード・クレイブ氏はインタビューで、「投資家というのは実績がないうちはなかなか投資しようとは思わないものだ。われわれのように極めて異例でユニークなことをしている場合、関心を持ってもらうまでにさらに時間がかかる」と話した。
JPモルガンの広報担当者はコメントを控えた。
ニューメライは、高度なスキルを持つアマチュアの力を借りて、洗練された株式運用戦略を構築しようとしている。23年には17%の損失を出したが、不採算の取引をより早く見切るようにしたり質の高いアイデア提供者を絞り込んだりしたことで、成績は回復に向かった。
ニューメライのプラットフォームでは、世界の6000銘柄を対象に、価格推移からバリュエーション指標に至るまで幅広いデータが提供される。ユーザーは、匿名化されている各銘柄について、今後数週間で市場を上回るか下回るかを予想し、ニューメライが発行するデジタルトークン「ニューメレール(NMR)」を自らの予想に賭ける。
成績が良ければ保有するNMRが増え、悪ければ減る仕組みだ。ニューメライは、こうしたユーザーのNMRの賭け額を基に、ロング・ショート戦略を組み合わせたポートフォリオを構築している。
クレイブ氏は自社の運用手法を、ミレニアム・マネジメントのようなマルチ戦略型ヘッジファンドに例える。多様な投資アイデアの集合によってパフォーマンスが成り立っていることが共通点だ。
最大の違いはコスト効率だとクレイブ氏は話す。ミレニアムのような企業は優秀な人材を引き付けるために巨額の資金を投じるのが一般的だ。
「あれだけの資本と人材を吸い上げなければヘッジファンドは成立しないのだろうか」とクレイブ氏は疑問を投げかける。「世界中の才能とつながり、非常に質の高いデータを提供するヘッジファンドがあったら、金融の在り方を変えることになるだろう」と語った。
原題:Crowdsourcing Hedge Fund Gets $500 Million JPMorgan Commitment(抜粋)
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