(ブルームバーグ):米プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社ベイン・キャピタルは、競合他社が人工知能(AI)ブームを支える米国内のデータセンター建設・拡張を後押しする投資を急ぐ中、慎重姿勢を示している。
ベインの共同マネジングパートナー、デービッド・グロス氏はインタビューで、米国は現在、史上最大級の技術インフラ拡大の震源地となっており、「膨大な資金が投じられ、巨大な軍拡競争を引き起こしている」とした上で、「確かなのは、全員が勝者になるわけではないということだ」と語った。
ベインは先月、同社の14本目となる140億ドル(約2兆1400億円)規模のPEファンドの資金調達を完了した。
AIの急発展に伴い、AIの学習を支えるデータセンターの需要が急増している。マッキンゼーによると、2030年までに世界のデータインフラ投資に占める米国内投資の割合は40%余りに達する見通しだ。ブラックストーンやKKR、アポロ・グローバル・マネジメントなど大手資産運用会社はすでに米国内のデータセンターに巨額資金を投じている。
一方、ベインはデータインフラへの出資に関しては過密状態の市場に割り込むのではなく、欧州の比較的小規模な市場やアジア各地の投資機会に照準を定めている。
グロス氏は「電力の確保や現地当局からの許認可取得は極めて難しいものの、適切な資源とパートナーを備えていれば、これらの市場は魅力的な開発の機会を提供し得る」と述べた。
ベインは7月、欧州と中東、アフリカでデータセンターを建設する合弁会社hscaleを英アクイラ・グループと設立したと発表した。
グロス氏は、ベインが米国内ではデータセンター建設よりも、施設運営を効率化するサービスへの投資に軸足を置いてきたとし、「これに関連する投資収益率は非常に魅力的だ」と語った。
同氏は、米国のデータセンターがいつ十分な投資収益を生み出すようになるかは不透明だが、AIによる雇用の再配置が起これば従業員の再教育など新たな投資機会が生じるだろうと指摘。「そのタイミングこそ、米国の実物資産に投資する好機になるかもしれない」と述べた。
原題:Bain Capital Steers Clear of Backing US Data Centers Amid Boom(抜粋)
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