(ブルームバーグ):国際決済銀行(BIS)の新たな総支配人に就任したパブロ・エルナンデス・デコス氏は、中央銀行の独立性がインフレ抑制と人々の生活の安定に不可欠だと強調した。
前スペイン中銀総裁のデコス氏は26日、メキシコ市で行った就任後初の講演で、中銀の独立性により「短期的な政治的干渉を受けることなく、長期的な公共の利益を踏まえて経済的観点から」政策判断を行うことができると指摘。また、独立性は「財政赤字の穴埋めのために金融政策を利用する圧力から中銀を守る」と述べた。

こうした発言の背景には、トランプ米大統領による米連邦準備制度理事会(FRB)への度重なる攻撃がある。トランプ氏は長らく、パウエルFRB議長に利下げを迫ってきた。25日には、住宅ローン書類の不正疑惑を理由に、クックFRB理事の解任に踏み切るという異例の措置に出た。クック氏は、トランプ氏に自身を解任する権限はないと主張し、辞任を拒否している。
米ワイオミング州ジャクソンホールで先週開催されたカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムでは、各国の政策当局者が米連邦準備制度およびパウエル氏への支持を表明。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁を含む複数の参加者が、中銀の独立性が損なわれかねないとの懸念を示した。
デコス氏は講演で、物価安定の責務、独立性、説明責任の三つが「金融政策という船のいかりと船体、帆柱にあたる」と表現。中銀には「制度的、機能的、人的、財政的な独立性が求められ、それらは堅固な法制度により裏付けられていなければならない」と述べた。
また、健全な財政運営の重要性にも言及し、「持続可能な財政運営は、中銀が自らの責務を果たし続ける上で極めて重要だ」と訴えた。
原題:New BIS Head Warns Against Threats to Central Bank Independence(抜粋)
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