8月第4週(25-29日)の日本株相場は上昇が見込まれる。米カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム、ジャクソンホール会合を通過し、投資家の関心は米半導体大手エヌビディアの決算に移る。旺盛な人工知能(AI)需要を追い風に強気な業績見通しを示せば、半導体関連株などの上昇を通じて株価指数を押し上げる可能性がある。

ジャクソンホールではパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が日本時間22日夜に講演。9月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での利下げ期待を高めるような発言をすれば投資家心理が改善し、日本株に追い風となる。半面、利下げに慎重なら相場の重しとなる。

27日には米エヌビディアが5-7月期の決算を発表する。AI関連の需要は景気などの影響を受けにくいとされており、同社が強い業績ガイダンスを示せば、指数への寄与度が高いアドバンテストなど半導体関連株を中心に買いが広がりそうだ。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想では、8-10月期の売上高は前年同期比52%増が見込まれている。

3週の東証株価指数(TOPIX)は週間で0.2%下落。海外株と比べた出遅れ感や堅調な米景気などを背景に週初は史上最高値を更新したが、その後は短期的な過熱感や米金融政策の不透明感が重しとなった。スピード調整は一段落したとの見方もあり、材料次第で再び上昇の勢いが強まる可能性もある。

25日には7月の全国百貨店売上高が発表される。28日には日本銀行の中川順子審議委員が山口県金融経済懇談会で講演し、その後記者会見する。29日には総務省が8月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)を発表する。7月の生鮮食品を除くコアCPIは前年比の伸びが4カ月ぶりに3%を下回った。

《市場関係者の見方》

しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャー

週前半はパウエル氏の発言を消化する。9月利下げへの期待がやや後退していることもあり、ネガティブな内容でも相場の下げは限定的だろう。利下げ期待を高める内容でも、最終的には経済データ次第なため過度な織り込みはできない。どちらのケースでも株価指数は現水準付近で落ち着き、週後半のエヌビディア決算で方向感が定まるのではないか。市場は同社の業績について比較的、楽観的なようだ。

SBI証券の鈴木英之投資情報部長

米利下げの見通し次第で相場はどちらにも振れる可能性があり、日経平均株価は4万2500円から4万3800円のレンジを予想する。日本株には米国株からの分散投資や来期の企業業績の回復見通し、デフレ脱却といった追い風が吹いており、パウエルFRB議長のスタンスが現状維持程度なら相場は底堅さを見せそうだ。

--取材協力:我妻綾.

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