(ブルームバーグ):韓国の李在明大統領は23日、就任後初の外遊先として日本を訪れる。韓国の新大統領が同盟国である米国よりも前に来日するのは異例で、25日に予定するトランプ米大統領との初会談に向けた布石となる見通しだ。
韓国の歴代大統領は通常、就任後初の外遊先として、安全保障上の最重要同盟国である米国を選ぶことが多い。李氏は就任前、日本に対して強硬な姿勢を取っていたことで知られるだけに、今回まず東京を訪れ、石破茂首相と会談した後にトランプ氏と面会するのは、なおさら強い意外感をもって受け止められている。
今回の日程は、日韓関係の安定維持への李氏のコミットメントを巡る疑念を払拭する狙いがあると考えられる。大統領選挙期間中の敵意に満ちた言動を撤回した後も、李氏の姿勢に懐疑的な見方は根強い。
米ブルッキングズ研究所の上級研究員、アンドルー・ヨー氏は「李大統領は、地域の安全保障や貿易、経済安保など、両国が大きな利害を共有するさまざまな問題について、日本と協力する意思を米国および国際社会に示すつもりだろう」と述べた。
石破首相にとっても今回の会談は、重要な外交会談を成功させる力を発揮し、不安定な自身の立場を強化する機会となる。
訪日を控えた8月15日に李大統領は、日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の演説で、日本を「不可欠なパートナー」と位置づけ、対日政策の方向性をうかがわせた。さらに、21日付の読売新聞とのインタビューでも、慰安婦や元徴用工を巡る問題に関する日韓合意について、多くの韓国国民にとって受け入れがたくとも覆すべきではないと述べ、対日姿勢の明確化を図った。
過去の韓国大統領の中には、以前の政権が日本と結んだ合意を無効としたケースもあり、日本側に新政権への疑念を抱かせたが、李氏の発言は、こうした経緯とは異なるものだ。
かつて李氏は日本を「敵国」と呼ぶなど挑発的な発言をしていただけに、今後は反日の印象を早急に払拭し、米国や日本と連携可能な指導者であることを示す必要がある。
李氏と石破氏は6月にカナダで開催された主要7カ国(G7)首脳会議の場で顔を合わせており、日韓国交正常化60周年を迎え、米国を含む3カ国の協力強化で一致していた。地域の地政学的リスクに対処するため、日韓首脳間のシャトル外交の継続も確認している。
原題:South Korean Leader’s Japan Visit to Set Stage for Trump Summit(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.