(ブルームバーグ):ビデオ会議サービスの米ズーム・コミュニケーションズが示した2026年1月通期売上高見通しは市場予想を上回った。人工知能(AI)を含むビジネスツール拡充による売り上げ増が背景。これを受け、ズーム株は上昇した。
21日の発表資料によると、同社は通期売上高見通しを48億3000万-48億4000万ドル(約7170億-7190億円)と、従来の48億-48億1000万ドルから引き上げた。アナリスト予想の平均は48億1000万ドルだった。一部項目を除いた通期1株利益見通しも5.81-5.84ドルと、アナリスト予想の平均(5.60ドル)を上回った。
ズームのビデオ会議プラットフォームは新型コロナウイルス禍の時期に一躍注目を集めたが、コロナ関連の規制緩和後にはライセンス更新をやめる消費者や中小企業が相次いだ。一方で法人顧客については、在宅からオフィス勤務に戻る社員が増え、ライバルのマイクロソフトがビデオ会議ソフトウエア「Teams」で攻勢を強める中でも総じて利用を継続している。
5-7月(第2四半期)の企業向けの売上高は前年同期比7%増の7億3070万ドルとなり、市場予想の平均(7億1670万ドル)を上回った。過去1年間の支出が10万ドルを超えた顧客数は4274だった。
ズームは近年、AIアシスタントを含むビジネスツールへの多角化を進めてきた。今回の決算に関するプレゼンテーション資料によると、AIアシスタントの月間アクティブユーザー(MAU)数は「数百万」と、前年比で4倍に増加したという。
シティグループのアナリスト、タイラー・ラドキー氏は「ズームの第2四半期は安定した内容で、成長ペースは改善方向で落ち着きつつある。引き続き逆風を乗り切っている」と指摘した。
米株式市場引け後の時間外取引でズームは一時約5%上昇した。年初来では10%下げている。
エリック・ユアン最高経営責任者(CEO)は発表資料で「過去11四半期で最高の前年比増収率を達成するなど、第2四半期は全体的に堅調な結果だった」とコメントした。
5-7月期の売上高は前年同期比4.7%増の12億2000万ドル、一部項目を除いた1株利益は1.53ドルだった。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、ジョン・バトラー氏は5-7月期決算にはモメンタム加速が反映されており、新たな有料AI機能が売り上げを押し上げていると見受けられると分析。一方で、コロナ禍収束後は低調な増収率にとどまっており、少なくとも向こう2年間は年率3%程度にとどまるとの見通しを示した。
原題:Zoom Projects Sales Growth in Positive Sign for New AI Tools (1)、Zoom Communications Boosts FY Revenue Forecast, Beats Estimates (抜粋)
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