タイ政府は18日、外国人観光客が滞在中の旅行費用や消費のためにデジタル資産をバーツに換金する際の規制を緩和すると発表した。外国人に便利な決済手段を提供し、デジタル資産の利用を支援することで、経済依存度の高い観光産業を刺激したい考えだ。

ピチャイ財務相は18日の記者会見で、「ツーリスト・デジペイ」プログラムを、10-12月期から18カ月間の試験運用を開始すると明らかにした。同氏は「タイに滞在する外国人観光客の利便性を高めるために、あらゆる手を尽くしたい。この新しいプログラムは、海外からの旅行者が現金やクレジットカードを使う代わりとなる新たなイノベーションだ」と述べた。

当局によると、デジタル資産は商品やサービスの支払い手段として直接利用はできず、バーツへの換金にのみ使える。店は、バーツでのみ支払いを受け取ることになる。プログラムを通じた消費には、月50万バーツ(約230万円)の上限が設けられている。

財務省の声明によると、外国人観光客が商品やサービスの支払いのためにデジタル資産をバーツに換金する場合、認可を受けたデジタル資産事業者や電子マネーサービス事業者を通じて取引しなければならない。

東南アジア第3の経済規模を持つタイは、幅広い国々から観光客を呼び込もうとしている。中国の俳優ワン・シン氏がタイとミャンマーの国境付近で誘拐されたとの報道をきっかけに、中国からの旅行者数は安全面への懸念から落ち込んでいる。政府は中東や東南アジアからの観光客の流れを拡大し、今年前半に中国人旅行者が33%減少した影響を相殺したい考えだ。

タイ国家経済社会開発庁は18日、今年の外国人観光客数の見通しを従来の3700万人から3300万人に下方修正した。観光業はタイの国内総生産(GDP)の約12%を占める。8月10日時点で年初来の外国人旅行者数は2020万人超と、前年同期比で6.9%減少した。

原題:Thailand to Allow Foreign Tourists to Convert Crypto to Baht(抜粋)

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