(ブルームバーグ):19日に実施される20年利付国債入札は、政治や財政の不確実性が高い中で超長期債への投資家需要を改めて測る試金石となる。
7月の参議院選挙で与党が過半数を失い、財政政策を巡る思惑から超長期債の動向に注目が集まっている。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは、「今月行われた10年債入札と30年債入札は無難に消化したが、超長期債の需給不安は完全に払拭されておらず、警戒感が強い」と指摘した。

自民党総裁選の前倒し実施の可能性が浮上し、財政拡大への思惑が投資家の間で広がっている。財務省は需給改善を図り超長期債の発行を減らしているが、日本銀行が国債購入を縮小している中で、需給の不均衡が拡大することが警戒されている。
財政赤字拡大に対する懸念を背景に超長期債は世界的に圧力を受けている。ドイツの30年債利回りは先週、14年ぶりの高水準に達した。日本の20年債利回りは今月上旬にかけてやや低下したとはいえ、7月に記録した1999年以来の高水準付近にとどまっている。
ブルームバーグ・ストラテジストの見方:
20年債はベンチマークでもなければ超長期でもなく、難しいテナーだ。今年行われた過去7回の入札で、買い手は時価評価ベースで損失を被っている。7月の大幅な発行減額も、全体的な指標の改善にはほとんどつながらなかった。
— MLIVストラテジスト、マーク・クランフィールド、関連記事はMLIV
バークレイズ証券のストラテジスト、江原斐夫氏と門田真一郎氏はリポートで「7月以降、利回り絶対水準はレンジ上限に近い値で推移しているが、8月末に自民党の参院選総括が予定されている中、9月以降に政治情勢変動に伴う財政懸念がさらなる利回りの上昇をもたらし得るため、絶対水準自体に必ずしも妙味があるとは言い難い」と分析した。
20年債入札の結果は午後0時35分に発表される。注目点は投資家需要の強弱を反映する応札倍率。前回の7月入札では過去12カ月の平均を下回ったものの、水準自体は3月以来の高さとなった。大きいと入札の不調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)も要注目だ。
一部の市場参加者は、財務省が7月から超長期債の発行を減らしたことで、今回の20年債入札は無難に消化される可能性があるとみている。ただ、超長期債の先行きに対する懸念は根強い。
SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、入札は無難な結果になると予想しているが、「強い結果も予想はしていない」と言う。依然として政治の不透明性があるため、先行きについても強気には見ていないと述べた。
--取材協力:日高正裕.
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