パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は22日のジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)での講演で、ハト派的なシグナルを発信すると、バークレイズやBMOキャピタル・マーケッツ、TDセキュリティーズの金利ストラテジストは予想している。

パウエル氏の講演に関する市場関係者の見方は以下の通り。

◎バンク・オブ・アメリカ(BofA)のマーク・カバナ、メガン・スワイバー氏ら:

FRB利下げの織り込みが進んでいるのは、経済指標よりもむしろトランプ米政権当局者の発言に反応したものとみられる。一方で、米国の制度的な信頼性に対するリスクが、当社の金利見通しの根幹に大きな影響を及ぼしている

7月の雇用統計で失業率の上昇リスクが改めて浮き彫りになったことを踏まえると、パウエル議長の発言は7月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合時よりもバランスの取れた内容になる可能性が高い

◎バークレイズのアンシュル・プラダン、デミ・フー両氏:

パウエル氏は具体的な行動に踏み込む可能性は低いものの、雇用の伸び鈍化による下振れリスクの高まりや、最近のインフレ指標が目標から乖離(かいり)している点を認めるだろう

FRBが利下げを先送りしたとしても、長期債利回りは引き続き上昇が抑制される可能性が高い。特に雇用増加ペースが先行き著しく鈍化する可能性など、成長の構造的な減速を市場が織り込むためだ

◎BMOキャピタル・マーケッツのイアン・リンジェン、ベイル・ハートマン両氏:

政策当局者が年内の残り3回のFOMC会合について具体的な行動方針を打ち出す可能性は低い。とはいえ、7月の経済データを踏まえれば、今回の講演でハト派的なトーンが発せられてもおかしくない

◎ゴールドマン・サックス・グループのジョージ・コール氏ら:

9月に利下げが実施されるという基本シナリオは変わっていない。ただし、より速いペースの追加利下げを織り込むには、FRBによる明確なシグナル、あるいは労働市場の軟化を裏付けるデータが必要になるかもしれない

◎ナティクシスのジョン・ブリッグス氏ら:

7月のインフレ指標は9月の利下げを必ずしも妨げるものではないが、利下げを後押しする内容でもなかった

◎TDセキュリティーズのジェナディー・ゴールドバーグ氏ら:

7月の消費者物価指数(CPI)を受けて、当社は次回の利下げ時期予想を10月から9月に前倒しした。CPIは次の政策判断を巡って態度を決めかねていた複数のFRB当局者の見方を変える可能性がある

パウエル議長はジャクソンホールでの講演で、9月の緩和に傾いていることを示唆すると当社では予想している

◎ウェルズ・ファーゴのマイク・シューマッハー氏ら:

金利と為替の市場は昨年と同様に、パウエル議長の講演にかなり敏感に反応する可能性が高い。市場はFRBの政策スタンスの転換点を見極めようとしており、状況が2024年と不気味なほど似通っている

原題:Strategists Focus on Powell for Signals of Dovish Tilt: Roundup(抜粋)

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