新興国市場ファンドは人工知能(AI)ブームを取り込もうと動いている。一部の投資家はテクノロジー分野への旺盛な支出が今後何年にもわたってリターンを押し上げると予測している。

中国のAI開発企業、DeepSeek(ディープシーク)の成功やアジアの半導体大手の躍進に後押しされ、オールスプリング・グローバル・インベストメンツやGIBアセット・マネジメントなどの資産運用会社は、ポートフォリオにおけるAI関連株への配分を増やしている。この戦略が奏功し、今年に入りブルームバーグの新興国株指数の上昇に最も寄与した上位6銘柄はAI企業だ。

オールスプリングで新興国市場の株式全体を統括するアリソン・シマダ氏は「このトレンドは今後10-20年続く可能性がある。新興国の人々に変革的な影響を及ぼすだろう」との見方を示した。

 

AI投資ブームの多くは米シリコンバレーの一部企業に集中してきたが、技術を活用したり重要な部品を供給したりできる新興国企業も恩恵を受けている。例えばAIサーバーは、台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)の主な成長のけん引役となっている。

ブルームバーグの新興国株指数に今年最も寄与しているのは、台湾積体電路製造(TSMC)、テンセント・ホールディングス(騰訊)、アリババグループ、サムスン電子、SKハイニックス、小米(シャオミ)の6社で、指数上昇分の37%を占める。

シティグループの株式ストラテジストによると、AIへのエクスポージャーが大きい新興国株は今年に入り、米国の大型ハイテク7銘柄「マグニフィセント・セブン」を上回るパフォーマンスを示している。

GIBアセット・マネジメントでグローバル新興国市場株の共同ポートフォリオマネジャーを務めるクナル・デサイ氏(ロンドン在勤)は「新興国市場に投資するなら、AIがどう企業利益を押し上げていくのかについて前向きで楽観的な見方を持つことが不可欠だ」と語った。

デサイ氏によれば、今後2-3年にわたり台湾と韓国が新興国市場の「中心的な推進力」となり、マレーシア、中国、インド、中南米と中東の一部は、AIデータやアプリケーションへの関与度合いの高さから「相対的に大きな利益」を享受する見通しだという。同氏のファンドは最近の相場下落時にAI株に投資しており、今後は新興国市場のリターンの3分の1がAI関連株から生じるとみている。

 

ピクテ・アセット・マネジメントのシニア投資マネジャー、イ・ヨンジェ氏は「この分野は爆発的な成長が見込まれており、今後もその勢いは続くだろう。AIはこれからも新興国市場における重要な分野であり続けるだろう」と述べた。

原題:AI Boom Seen Driving Next Decade of Emerging Markets Performance(抜粋)

--取材協力:Jorgelina Do Rosario.

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