(ブルームバーグ):ベッセント米財務長官は12日、米連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策決定について、9月の会合でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標(政策金利)を通常より大幅な0.5ポイント引き下げる選択肢にオープンであるべきだとの見解を明らかにした。FOMCは7月29、30日の会合で利下げを見送った。
ベッセント財務長官はFOXビジネスとのインタビューで、7月のFOMCで政策金利が据え置かれた2日後、7月の雇用統計で5月と6月の就業者数の伸びが大幅に下向き改定された経緯に触れ、「現時点で真剣に考えるべきことは9月に50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを決定すべきかどうかだ」と語った。
ベッセント氏は、その時点で改定された数字が手元にあれば、FOMCは「6月、7月に利下げを決めることができたかもしれない」と発言。数時間前に発表された7月の消費者物価指数(CPI)もエコノミストが想定される関税の影響を読み誤ったことを示唆していると述べた。
7月のCPIはサービス価格の上昇が加速する一方、トランプ政権が貿易相手国・地域に課す高関税にもかかわらず、消費財の価格は緩やかな伸びにとどまった。「財のインフレを誰もが予想していたが、実際には非常に奇妙なサービスインフレが起きた」と財務長官は指摘した。
ベッセント氏は、退任したクーグラー前連邦準備制度理事会(FRB)理事の後任に指名されたミラン経済諮問委員会(CEA)委員長の就任が、9月16、17日のFOMC会合に間に合うことに期待を表明した。FRB理事の人事は上院の承認が必要になる。
ベッセント氏によれば、ミラン氏の就任後の任期は来年1月末までだが、さらに長くとどまるよう求められることもあり得る。「彼は重要な声を担うことになる。FOMCの構成が変わる」と歓迎した。
一方、2026年5月に任期満了となるパウエルFRB議長の後任人事を巡っては、非常に幅広い選定作業が行われており、トランプ大統領も非常に柔軟だと説明。選定基準としては、金融政策と規制政策に関する見識、連邦準備制度の組織的運営・改革能力を挙げた。連邦準備制度は肥大化しており、それが金融政策の独立性を危うくしているとの認識も明らかにした。
貿易交渉の進捗(しんちょく)状況については、今後数カ月で多くの協議を終えるという野心的な目標に言及し、「われわれは良い位置にある。全ての主要国・地域と実質的条件で合意に達する」との見通しを示した。
原題:Bessent Hints Fed Should Be Open to a Half-Point Rate Cut (1)(抜粋)
(FRB議長の後任人事に関する発言などを追加して更新します)
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