米名門ハーバード大学はトランプ政権との和解の一環として、職業訓練プログラムに5億ドル(約740億円)を寄付する用意を示している。交渉に詳しい関係者が明らかにした。凍結された連邦資金20億ドル以上の支給再開が狙いだ。

トランプ政権はハーバードなどの大学が、職業訓練プログラムへの寄付という形で罰金を支払うことを受け入れる姿勢を示していると、関係者は話している。先月にはブラウン大学が地元のロードアイランド州で同様のプログラムに10年間で5000万ドルを寄付することで合意した。ハーバード大は政府に対して、罰金を直接支払うことには一貫して反対してきた経緯がある。

政府が求める罰金の支払い方法に関して合意できれば、数カ月間に及ぶハーバード大とホワイトハウスとの対立解消に向けた一歩となる。同大が反ユダヤ主義への対応を怠っているとして今年始まったトランプ政権による非難の矛先は、入学制度や留学生の受け入れ、教員の政治志向などへと広がっていた。

ホワイトハウスは、職業教育プログラムを名門大に対する文化的・経済的な対抗軸として位置づけている。トランプ大統領は4月、「経済的に非生産的な高等教育制度」ではなく、「若者のキャリア準備に再び焦点を絞る」とする大統領令に署名。5月になると、「非常に反ユダヤ主義的なハーバードから30億ドルの助成金を取り上げ、全米の職業訓練校に与えることを検討している」とソーシャルメディアに投稿した。

事情に詳しい関係者によれば、政権と大学側の合意の条件には現時点で、連邦監視官の任命は含まれていない。これは組織の独立性維持を求めるハーバード大にとって懸案事項だった。

しかし、トランプ政権は合意の一環として、何らかの強力な履行メカニズムを同大に要求する可能性が高いと、関係者は匿名を条件に語った。

ハーバード大学の広報担当者は、詳細の確認やコメントを控えた。

チャールズ川の対岸から見たハーバード大学のキャンパス

原題:Harvard Ready to Pay $500 Million for Job Training in Trump Deal(抜粋)

(対立の背景や職業訓練の位置づけを加えて更新します)

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