ガザ配給所で相次ぐ“発砲” 元担当者が実態証言

これはJNNが独自に入手したGHFの配給所で撮影された映像。食料を求めて殺到する住民の背後で、銃声が響いています。

さらに別の動画には…
「いまの誰かに命中したと思うぞ!」
「よっしゃ!やったぜ、お前ら! 」

GHFの配給所付近では、イスラエル兵や、警備担当の元アメリカ兵らによる住民への攻撃が相次いで報告され、国連は859人のガザ住民が殺害されたと発表。一方、イスラエルやGHF側は、「でっちあげだ」などとこれを全面的に否定しています。

支援の現場でいったい何が起きていたのか。

私たちは今回、GHFの配給所で警備を担っていた男性、アンソニー・アギラーさんに接触することができました。2025年3月まで、アメリカ陸軍屈指の精鋭部隊「グリーンベレー」に所属していました。

元GHF警備担当 アンソニー・アギラー さん
「誰もが想像する以上に状況が深刻であることを、世界に向けて証言するためにここに来た。これはこれまでの人生・軍人生活で見てきた中で最も悲惨で非人道的な光景です」

5月に、GHFの配給支援に加わるためガザに入ったアギラーさん。最初に違和感を覚えたのは、配給所の立地だったと話します。

アンソニー・アギラー さん
「配給場所は、ガザ中部から住人を追い出すため意図的に選ばれた」
「食料や医薬品を使って『安全が欲しかったらこっちへ来なさい』と言いながら住民を追放するのです。このような住民追放は戦争犯罪です」

それまで国連が担っていた配給所はガザ全土で400か所ほど。GHFに代わってからはわずか4か所に限定されました。

アンソニー・アギラーさん
「現場では積み上げられた支援物資を掴むために、誰もがただひたすらに争うのです。まさに混沌と化します」
「女性や子供、障害者など、最も弱い立場の人々は何も手にできません」

さらに、イスラエル兵らは物資がなくなると、住民を追い返すために発砲を繰り返していたと言います。

記者
「率直に聞きます。イスラエル兵や元米兵が市民に向けて発砲する様子を見ましたか?」

アンソニー・アギラーさん
「何度も見ました。毎日です」
「イスラエル軍は、彼らを移動させるための銃撃を“コミュニケーション”と呼んでいた」

イスラエル軍やGHFは、「空に向けた警告射撃しか行っていない」と主張する一方、「群衆に向けて発砲していた」と証言。

アギラーさんには、ある忘れられない光景があります。GHFの配給所を訪れた、アミールという少年との出会いです。