止まない戦闘による影響が深刻化しています。パレスチナ自治区ガザでは、子どもたちを含む飢餓が急速に広がっています。イスラエル軍が、トラックによる物資の搬入を制限する中、私たちは日本メディアで初めて空から物資を投下するミッションに同行しました。一方、地上では、わずかな物資を求める人々に向け発砲も起きています。
封鎖続くガザ地区 空から見えた破壊と飢餓
中東ヨルダンの空軍基地。駐機している輸送機に、次々と物資が運び込まれていきます。

記者
「奥に待機しているヨルダン軍の輸送機に、食料などが入った人道支援物資が運び込まれていきます」
積み込まれていくのは、深刻な飢餓に苦しむパレスチナ自治区ガザの人たちに届ける支援物資。コメや小麦、乳児用のミルクなどが入った物資に、パラシュートが取り付けられています。
私たちは今回、ヨルダン軍による空中投下の同行取材を、特別に許可されました。
記者
「輸送機の後方のドアが開きました」
見えてきたのは、イスラエルによる封鎖が続くガザの姿です。

記者
「ガザが見えてきました。上空からでも極めて破壊された様子が分かります。このエリアでは町全体がつぶされたかのように、ほとんどすべての建物がぺしゃんこに崩れ落ちています」
カメラが捉えた、ガザ北部の様子。イスラエルが外国メディアのガザ入りを厳しく制限するなか、その様子を上空から取材するのは、日本メディアとしては初めてです。

イスラエル軍によるガザ侵攻前の様子と比べると、あらゆる建物が崩され、輪郭を失った町並み。舗装されていたアスファルトの道路も消え、町全体が、まるで更地のようです。かつての緑もすっかり消え、灰色の瓦礫と茶色く乾いた地面だけの色を失ったガザの姿が目の前にありました。
“食料奪い合い” 投下物資に大勢の人が殺到
ガザ中部へと到達すると…

記者
「ガザへと支援物資が投下されていきます。90万人もの人が飢餓の状態にあるガザに対して、住人にとっていま最も必要な食料などが投下されました」
一斉に投下された物資。パラシュートが開き、地上へと降下していきます。

別の日に撮影された地上での様子を見ると、投下された物資に大勢の人が殺到し、奪い合いに。ただ、その中で食料を手にできるのは、ごくわずかの人です。
ガザ住民
「私には9人の子供がいる。午前6時から待っていたのに何も受け取れなかった」
記者
「こうした空中投下は、本来であれば災害現場や人がアクセスすることができない時に用いられる手段ですが、イスラエル軍が大幅に支援の制限をする中、唯一の手段となっているということです」
このフライトで投下した食料はあわせて8トン。200万人以上が住むガザに必要とされる1日2000トンには遠く及ばず、非効率で、またパラシュートが開かずに物資が市民に直撃し死亡するという事故も相次いでいます。
ガザで人道危機が深刻さを増したのは2025年3月。
イスラエルが「人質を解放するようハマスに圧力をかける」と、ガザへの陸路による物資搬入を大幅に制限したことがきっかけです。さらに5月末からは、「ハマスが国連の支援物資を横取りしている」などとして、ガザ内での食料配給を、イスラエルとアメリカが主導する「GHF=ガザ人道財団」が担うようになりました。しかし…