米宇宙開発スタートアップのファイアフライ・エアロスペースは7日、ナスダック・グローバル・マーケットに上場し、新規株式公開(IPO)価格を34%上回る水準で初日の取引を終えた。同社は、破産法の適用申請などの困難を乗り越え、無人宇宙船を月面着陸させることに成功した民間企業。

株価は寄り付き後の上げ幅を縮小したものの、60.35ドルで取引を終了。IPO価格は45ドルだった。

当初計画の20倍を超える応募があったため、同社は公募株数を拡大。IPO価格は仮条件レンジ41-43ドルを上回る水準に設定され、8億6800万ドル(約1280億円)を調達した。時価総額は完全希薄化後でみると90億ドル超。

宇宙関連企業の多くが持続可能なビジネスモデルの確立に失敗する中、ファイアフライは試金石とみなされている。

最高経営責任者(CEO)のジェイソン・キム氏はインタビューで「ファイアフライのこれまでの成功が今回の上場をもたらした」と語った。

同社は今年3月に米航空宇宙局(NASA)と連携して無人月面着陸船「ブルーゴースト」を月面に着陸させることに成功。民間企業による成功は2例目だった。

インタビューで語るファイアフライのジェイソン・キムCEO

ファイアフライは2014年、現最高技術責任者(CTO)のトム・マークシック氏が設立。当初の社名は「ファイアフライ・スペース・システムズ」で、「アルファ」ロケットを独自に開発したが、欧州の有力投資家の撤退により資金繰りが悪化し、17年に破産法の適用を申請した。

同年、ウクライナの投資家マックス・ポリャコフ氏がファイアフライの資産を買収。同氏率いる投資会社ノースフィア・ベンチャーズが過半数株式を取得し、経営再建を図った。ファイアフライは21年以降、資金調達を着実に進め、直近では24年に1億7500万ドルを調達している。

原題:Firefly Aerospace Surges 34% After Upsized $868 Million IPO (4)(抜粋)

--取材協力:Matt Turner.

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