日本銀行が7月に開いた金融政策決定会合では、早ければ年内にも現状の様子見モードが解除できる可能性があるとの見解が政策委員から示された。「主な意見」を8日に公表した。

この委員は、米国関税政策の影響の見極めに今後2-3カ月は必要とした上で、日本経済への影響が軽微にとどまる場合、「早ければ年内にも現状の様子見モードが解除できるかもしれない」と語った。米関税に過度に慎重になり、利上げのタイミングを逸することがないように留意が必要との意見も出た。

日本銀行本店

一方、別の委員は通商政策の具体的な影響は確認できておらず、「もう少しデータを得た上で政策判断すべきだ」と主張。日米関税協議の合意後も通商政策を巡る不透明感は引き続き大きく、現行の政策金利を維持して「緩和的な金融環境を維持し、経済をしっかりと支えるべきだ」とする意見もあった。

30、31日の会合では0.5%程度の政策金利を据え置いた。ブルームバーグが7月会合直後の1日に実施したエコノミスト調査では、年内追加利上げの見方が53%と日米関税合意前に行った前回調査の42%から拡大した。今回の主な意見は市場予想を補強する内容と言えそうだ。

基調的な物価上昇率

日銀が政策判断で重視する基調的な物価上昇率に関しては、ある委員が「2%に向けて緩やかに上昇しているものの、なお2%には至っていない」と指摘。一方で「推計誤差等も踏まえると足元2%ぐらい」との見方も示され、その委員は物価の下振れリスクも意識し、2%程度で定着するかみていく必要があると述べた。

植田和男総裁は会合後の記者会見で、物価の基調について2%に向けて緩やかに上昇しているとしつつ、「なお2%を下回っている」と語った。新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、物価の基調は2027年度までの見通し期間の後半には目標の2%程度で推移するとのシナリオを維持した。

ある委員は、基調が中心となっている現在の物価動向に関する対外的な説明を「物価の実績と見通し、需給ギャップや予想物価上昇率に変えていくべき局面だ」と主張。基調が2%に近づいていけば、実際の物価上昇率を「重視する度合いが徐々に高まっていく」との見方を示す委員もいた。

他の「主な意見」

  • 政策金利は中立下回る、今後も可能なタイミングで利上げを
  • 急速な利上げは日本経済にダメージ、適時の利上げが重要
  • 今後の財政政策、物価押し上げにつながらないか十分注意
  • 10年国債利回りは足元1%台半ば、金融環境は緩和的

(詳細を追加して更新しました)

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