人事院は7日、2025年度の国家公務員の給与改定で月給を平均3.62%引き上げるよう勧告した。増加率は34年ぶりの高水準。物価高や人手不足を背景に民間企業で賃上げが進む中、官民の格差を是正する。

人事院勧告では、基本給を引き上げる民間のベースアップ(ベア)分に相当する月給について、平均1万5014円の引き上げを求めた。モデル試算した定期昇給分を加えた月収の増加率は約5.1%となる。ボーナスは0.05カ月増の年4.65カ月分とするよう勧告。月給とボーナスの増額は4年連続となる。

今年は採用市場での競争力向上のため、初任給を大幅に引き上げることも求めた。大卒総合職で1万2000円増(5.2%増)、高卒一般職で1万2300円増(6.5%増)とするなど、若年層の給与改善に重点を置く。

物価高や人手不足が続く中、連合が先月発表した今春闘の平均賃上げ率は目標の「5%以上」を2年連続で達成。34年ぶりの高水準で、賃上げの勢い継続が確認された。ベアは3.70%で、目標の「3%以上」をクリアした。「賃上げこそ成長戦略の要」とする石破茂政権の下、民間との格差是正は人材獲得の面でも重要な鍵となる。

人事院の川本裕子総裁は談話で、公務組織が多様で優秀な人材が働きたいと思える「選ばれる場所」である必要があると指摘。優秀な人材の確保・定着へ「実力本位で活躍できる公務」を実現する考えを示した。給与面では、「年功的なものから、職務・職責をより重視した新たな制度へと転換を図る」としている。

国家公務員の給与は民間企業の給与水準と均衡させる民間準拠を基本としており、人事院が民間企業の給与額と比較し、勧告に反映させる。

人事院は今回の勧告から、官民給与の比較対象企業の規模を従業員100人以上とし、従来の50人以上から引き上げた。本府省職員については、東京23区に本店を置く従業員1000人以上の企業と比較する。これまでは500人以上だった。

(5段落目に人事院総裁の談話を追加して更新しました)

--取材協力:横山恵利香.

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