気候変動問題に取り組む民間非営利団体(NPO)が米国で10億ドル(1474億円)以上の被害をもたらした災害の追跡データベースを復活させる。トランプ米政権は5月に更新を停止していた。

米海洋大気局(NOAA)が作成したデータベースは今秋、気候変動を調査するNPO「Climate Central」によって再開される見通しだ。

同NPOは、NOAAの気候学者として10年余りにわたり災害のデータベースをまとめてきたアダム・スミス氏を採用。10億ドル以上の被害をもたらした嵐や干ばつ、山火事などの災害について集計を継続していく。

スミス氏はブルームバーグ・グリーンのインタビューで、4月にNOAAを自主退職したと語った。データベース業務を止めるよう圧力を受けたという。トランプ政権はここ数カ月、気候変動の研究に対して広範な攻撃を加えている。

運用停止に追い込まれたものの、オンラインで閲覧可能な同データベースは、激甚化する災害による金銭的損害を記録。スミス氏らのチームがまとめた想定被害額は、「国家気候評価」最新版の重要な要素となった。保険や再保険業界でも、米国各地の災害リスクを示すために活用されてきた。

NOAAにコメントを求めたが、すぐには回答が得られなかった。

NOAAでスミス氏のチームは、1980年の調査開始以降、10億ドル以上の被害をもたらした災害が年間平均で9件だったと分析。近年は災害リスクの高い地域での開発が進んだだめ件数が増加している。過去最多となる28件を記録した2023年は、干ばつによる148億ドルの被害のほか、ハワイ州マウイ島の山火事で多くの犠牲者が出た。24年は27件だった。

原題:Researchers to Rebuild Billion-Dollar Disaster Tool Trump Ended(抜粋)

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