(ブルームバーグ):米国の関税が今年前半の市場を揺るがしたことを受け、ヘッジファンド投資家は欧州資産を最優先の投資対象とみなしている。
ゴールドマン・サックス・グループが、合計で1兆ドル(約147兆円)余りをヘッジファンドに配分する投資家333人を対象に行った調査によると、年後半において最も関心を集める地域は欧州だという。欧州が最優先地域となったのは2018年以降で初めて。一方、北米への関心は大幅に後退した。
同行のプライムサービス部門はリポートで、「25年上半期は米国の継続的なボラティリティー(変動率)と政策の不確実性が特徴だった」と指摘。「その結果、資産配分担当者は他の地域に関心を移しているようだ」と述べている。
同リポートによると、投資家の28%が欧州への資産配分を増やす計画。減らすとの回答はわずか2%だった。予想外の財政出動や国防支出計画の復活を受け、25年上半期は欧州株のパフォーマンスが米国株を上回った。米国は関税による経済への影響を巡る懸念や人工知能(AI)投資後退の影響を受けた。

この見通しは、米銀バンク・オブ・アメリカ(BofA)が6月に行ったファンドマネジャー調査とも一致している。同調査では、差し引きで34%の投資家がユーロ圏の株式をオーバーウエートにした一方、米国株に対しては差し引きで36%の投資家がアンダーウエートとした。また、今後5年間で最も有望な資産クラスについて、資産運用担当者の半数超が米国株以外の国際株と回答したのに対し、米国株との回答は23%にとどまった。
それでも米国株は、主にグロース株やAIへの関心が再燃し、過去3カ月で持ち直している。ストックス欧州600指数とS&P500種株価指数の年初来上昇率は現地通貨ベースでいずれも約6%となっている。ゴールドマンの調査によると、北米への投資比率を年後半に引き上げるか、引き下げるかとの質問に対する投資家の回答はおおむね拮抗(きっこう)している。
原題:Hedge Fund Allocators Look to Load Up on Europe, Goldman Says(抜粋)
--取材協力:Sagarika Jaisinghani.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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