(ブルームバーグ):スイスの銀行UBSグループが、大規模なリスク移転の可能性について一部の投資家に打診している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。スイス政府が提案する自己資本規制の強化に備え、影響を抑える手段を模索しているとみられる。
関係者が匿名を条件に述べたところによると、UBSは約20億スイス・フラン(約3700億円)相当のローンに関連したSRTを検討している。検討はまだ初期段階であり規模や条件は変更される可能性もあると関係者は付け加えた。
SRT(シグニフィカント・リスク・トランスファー)は、銀行が保有ローンの貸し倒れリスクに対して保険をかける手法で、年金基金や政府系ファンド、ヘッジファンド向けにクレジットリンク債を発行する形で行われることが多い。これにより規制上の自己資本要件を下げることができる。
関係者によると、今回はクレディ・スイス・グループがUBSに買収される前にSRT債を発行する際に使用していたビークルの一つ「J-エルベティア」を通じて取引が行われる可能性があるという。
UBSの広報担当者はコメントを控えた。
クレディ・スイス危機の再発防止を目的とした政府の銀行規制改革案では、UBSの資本要件が最大260億ドル(約3兆8000億円)増加する可能性があるとされている。
その場合、株主への利益還元や成長余地が制限される懸念がある。
セルジオ・エルモッティ最高経営責任者(CEO)は先週の記者会見で、「SRTはリスク管理に加え、リスク加重資産(RWA)額と資本の最適化という副次的な効果も期待して活用している」と説明した。
UBSは先週、自己資本比率の強化を目的とする証券の一種であるその他ティア1(AT1)債を20億ドル相当発行した。
原題:UBS Plans SRT Deal Out of Program Inherited From Credit Suisse(抜粋)
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