香港では、長らく4つの巨大財閥が不動産業界を支配し、それぞれが数百億ドル規模の資産を築いてきました。この都市にとって、不動産は単なる産業ではなく、もはや「宗教」とも呼べる存在です。しかし今、これまで盤石と思われていた財閥の一つ「新世界発展」が、未曾有の危機に直面しています。
窮地に陥った香港の財閥一家 背景に中国の不動産危機
香港の大手不動産開発会社「新世界発展」が、債券支払いの延期を発表し、債権者に衝撃を与えています。
さらに、わずか数ヶ月の間に2度もCEOが交代するという異例の事態が発生しました。
これは、同社が抱える後継者問題の深刻さを浮き彫りにしています。
中でも、エイドリアン・チェン氏のCEO辞任は、大きな波紋を呼びました。
過去10年間、後継者と目されてきたエイドリアン氏は、新世界発展の急拡大を主導してきましたが、その結果、同社は数十億ドルもの巨額な負債を抱えることになりました。
現在、同社は110億ドル(日本円で1兆円超)もの負債の借り換えを迫られています。この状況は、中国の不動産危機の中で将来が見通せずにもがく、香港の財閥一家の姿を象徴しています。
