賞賛から一転「あれは間違いだった」

新世界発展の負債額は、2024年末には自己資本の95%に達し、競合他社を大きく上回りました。

この頃から、人々は2017年から2018年にかけて行われた新世界発展の積極的な拡張が、多額の負債の一因であることに気づき始めたのです。

新世界発展の状況の悪さに、市場も反応を示し始めました。

同社が市場から資金を調達するために発行する債券の価格が暴落したのです。

これは、投資家たちが資金回収の見込みが薄いと判断したことを意味します。

こうした状況下で、新世界発展の会長であるエイドリアン氏の父親が、香港の地元テレビで珍しくインタビューに応じました。

彼は信じられないことを示唆したのです。

「エイドリアン氏は、家業を継ぐ人物ではないかもしれない」と語ったのです

それまで、エイドリアン・チェン氏が新世界発展グループ全体の後継者になることは確実視されていました。

そして、ついにエイドリアン氏が新世界発展のCEOを辞任するというニュースが飛び込んできました。

これは、新世界発展がこの20年間で初めて赤字を出した直後の発表でした。

「新世界発展と言えばエイドリアン・チェン氏、逆もまた然り」とまで言われた関係が、10年以上続いていたため、このニュースは多くの人々を驚かせました。

当初、アナリストや投資家たちはチェン氏の投資を「革新的」と捉えていましたが、今では「投資を広げすぎた」と評価が変化したのです。

「最初は皆がエイドリアン氏を賞賛していましたが、今となっては誰もが『あれは間違いだった』と言います」と関係者は語ります。

エイドリアン氏が後継者としてふさわしいかどうかが疑問視される中、残る3人の兄弟姉妹も新世界発展の重要な役割を担っています。

中でも最も注目されるのは妹のソニア・チェン氏です。

彼女は家族の元祖ともいえる宝飾事業と、ニューヨークの「ザ・カーライル」やパリの「ホテル・ド・クリヨン」といった世界的名門ホテルを含むホスピタリティ事業の経営を任されています。

現在は、父親のヘンリー・チェン氏が再び指揮を執り、新しいCEOと共に新世界発展の財政を立て直さなければならない状況です。

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