「日銀は"ハト派ほど怪しい"」利上げしたいが円高が困る

FOMCに続いて7月30、31日に開催される日銀の金融政策決定会合。TBS経済部の取材では日銀内部からは「関税率の不確実性はなくなったが、それが経済にどう影響するかの不確実性は残る」「製造業で米輸出企業は実は多くない。円安もあって15%はカバーできる範囲内」といった声が聞かれました。
これを踏まえて末廣氏は、日銀も“ジレンマ”に直面していると言います。それは「利上げをしたいが、円高になるのは困る」ということ。
日銀は金利の正常化、つまり利上げを目指したいのが本音ですが、日米金利差が縮小すれば円高進行のリスクがあります。円高は輸出企業の収益を圧迫し、日米関税交渉で妥結した15%の関税の影響をさらに深刻化させかねません。
このため、末廣氏は植田総裁の会見のポイントについて次のように解説します。
「私は植田総裁の発言が『ハト派ほど怪しい』」と見ています。当面は利上げに慎重なハト派的姿勢を示すことで、市場に円安を促す。そうして円安が進めば、将来的に利上げをしやすい環境が整うため、ハト派的な発言こそが次の一手への布石かもしれない、というわけです」
日米の関税“合意”や日本の政局が複雑に絡むなか、“ジレンマ”を抱えるFRBそして日銀。今週の会合でどんなシグナルを発信するのかさらに注目していきましょう。
※この記事は28日(月)に配信された「The Priority」の内容を抜粋したものです