(ブルームバーグ):全国の物価の先行指標となる7月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、前年比の伸びが4カ月ぶりに3%割れとなった。エネルギーが押し下げ要因となった。
総務省の25日の発表によると、コアCPIは前年比2.9%上昇と2カ月連続で伸びが縮小し、市場予想(3.0%上昇)を下回った。日本銀行が目標とする2%を上回るのは9カ月連続となる。
エネルギーは0.8%低下。昨年6月に電気・ガス代への政府支援策が終了して価格が上昇した反動に加え、原油など資源価格の下落も影響した。水道料金は基本料金の無償化で34.6%低下した。一方、生鮮食品を除く食料は7.4%上昇と2023年9月以来の高い伸び。このうちコメは81.8%上昇と前月の90.6%上昇から鈍化した。

生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは3.1%上昇と伸びは横ばいだった。3%台は4カ月連続。市場予想と一致した。総合指数は2.9%上昇と4カ月ぶりに3%割れ。市場予想は3.0%上昇だった。
注目の日米関税協議は、日本への関税率をトランプ大統領が事前に通告した25%から15%に引き下げることなどで合意。市場では日銀の利上げの想定時期を前倒しする動きが出ている。コアCPIの伸びは鈍化したものの、より基調に近いコアコアCPIは引き続き3%台で推移しており、市場の利上げ観測は維持されそうだ。
ブルームバーグ・エコノミクスの木村太郎シニアエコノミストは、物価は「表面上は落ち着いて見えるが、過去のコメ価格の高騰や人件費の上昇によるコスト圧力は、加工食品や外食の価格に引き続き影響を及ぼしている」と指摘。その上で、「総じて見れば、今回の結果は日銀が段階的に利上げを続ける後押しになる」との見方を示した。
賃金動向を反映しやすいサービス価格は2.1%上昇となり、伸びは前月と同じだった。今年の春闘の賃上げ率は、昨年に続いて高水準となっており、賃金から物価への転嫁の進展が注目されている。
総務省の説明
- 総合とコアの押し下げに最も寄与したエネルギーは、15カ月ぶりのマイナス
- 教養娯楽用耐久財もマイナス寄与。ノート型パソコンの一部製品で大幅な値下げが行われたことが影響
- 生鮮食品を除く食料は、牛肉、チーズ、うなぎのかば焼き、ポテトチップスなどがプラス寄与
- サービス価格は、ゴルフプレー料金の値下げで通信・教養娯楽関連サービスがマイナス寄与。一方、すしや焼き鳥の価格上昇で外食はプラス寄与
(総務省の説明やエコノミストコメントを追加して更新しました)
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