トランプ米大統領は24日午後4時(日本時間25日午前5時)、改修工事が行われている首都ワシントンの連邦準備制度理事会(FRB)本部を訪れる予定だ。ホワイトハウスが23日、大統領の公式日程で公表したもので、それ以上の詳細はない。

FRB本部改修を巡ってはトランプ氏や側近、一部の共和党議員が予算超過を非難。また、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる金融当局が今年に入り政策金利据え置きを続けていることに、トランプ氏は批判をエスカレートさせている。

トランプ氏はこのところ、来年5月の現行任期満了の前にパウエル議長を解任するつもりはないとしつつも、25億ドル(約3650億円)に膨らんだ改修プロジェクトの扱いを巡り、議長解任に踏み切る可能性は完全には排除していない。

23日にはパウエル議長について、「予算を大幅に超過しているが、その建物が何のために必要なんだ」と、大統領執務室で記者団に語った。

ホワイトハウスのブレア大統領次席補佐官やボート行政管理予算局(OMB)局長、パルト連邦住宅金融局(FHFA)局長は最近、改修工事の様子を視察するためFRB本部訪問を要求していた。

ブレア氏は先週、現場視察のオファーを受けたが、大統領と上院共和党議員との会合予定と重なる時間帯だったため辞退した。トランプ氏はこれまで現場視察の意向を公に表明しておらず、当初から訪問を計画していたのかどうかは不明だ。ブレア氏は22日、トランプ政権当局者とFRBが24日の視察で合意したと明らかにしていた。

視察の詳細についてホワイトハウスにコメントを要請したが、これまでのところ返答はない。FRBはコメントを控えた。

パウエル議長は、改修工事が豪華過ぎるとした一部報道は不正確だとしている。議長の要請を受け、FRBの内部監察官はプロジェクトの費用増加について正式調査を開始した。

パウエル議長解任を試みる考えには政権内でも意見が分かれている。ベッセント財務長官は22日、「パウエル氏が今辞任すべきだと思われる要素は何もない」とFOXビジネスで発言。「5月の任期まで務めたいのであれば、そうすべきだし、任期前の退任を望むのであれば、そうすべきだ」と語っていた。

一方、ラトニック商務長官は23日、FOXニュースとのインタビューで、パウエル議長について、「辞任するか交代させるべきだ」との考えを示した。

2017年にパウエル氏をFRB議長に指名したトランプ氏だが、その後の姿勢は一貫していない。辞任を要求したり解任を検討したりする一方で、来年5月の任期満了を待つ姿勢もうかがわれる。

トランプ氏がパウエル議長解任に踏み切った場合、この対立は法的に重要な意味を持つ可能性がある。大統領には正当な理由なしにFRB理事を解任する権限が法律上付与されておらず、連邦最高裁が5月にトランプ氏による別の独立政府機関の幹部解任権限に関して下した判決でこの規定はさらに強化された。

この問題はまた、中央銀行の独立性と自律性を巡る長年の慣行を揺るがすことで、市場を動揺させる恐れもある。パウエル議長は過去数カ月にわたり、金利据え置きについてトランプ氏や側近の批判を浴びてきた。

なお、大統領によるFRB訪問はまれだが、全く前例がないわけではない。2006年にはベン・バーナンキ氏が議長就任式のためにブッシュ(子)大統領を迎えた。バーナンキ氏は式典のあいさつで、本部への大統領の訪問としては1975年のフォード大統領、1937年のルーズベルト大統領に続いて史上3人目だと述べていた。

原題:Trump to Tour Fed Construction Site After Attacking Powell(抜粋)

(関連記事リンクを二つ追加して更新します。更新前の記事は見出しを24日に訂正済みです)

--取材協力:Chelsea Mes、Amara Omeokwe.

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