ステーブルコイン市場が2兆ドル(約290兆円)規模に拡大するとの見通しについて、JPモルガン・チェースは「やや楽観的だ」との見解を示した。

ステーブルコインは通常、ドルなどの法定通貨を裏付けに発行される暗号資産(仮想通貨)を指す。この見通しは、米国で同市場の規制枠組み整備が進む中でしばしば引用されてきた。

ベッセント米財務長官は先月の上院公聴会で、立法の支援があれば同市場は2028年までに2兆ドルを超える可能性さえあるとの見方を示した。そうなった場合、今のステーブルコイン市場全体の価値(2600億ドル)の約8倍に相当する。

テレサ・ホー氏らJPモルガンのストラテジストは23日の顧客向けリポートで、「ステーブルコインを支えるインフラやエコシステムはまだ十分整っておらず、構築には時間がかかるため、今後数年間で市場が大幅に拡大するとは考えにくい」と指摘。「普及はさらに進むだろうが、一部が予想するほど急速ではない可能性がある」と説明した。

ステーブルコインは、ほぼ即時の国境を越えた決済・送金への利用が見込まれる点で、従来の金融システムを揺るがし得るとみられている。

価格変動が大きい他の暗号資産とは異なり通常は法定通貨に連動しており、即時かつ24時間の決済を容易にする可能性がある。

ただ関心が高まっているにもかかわらずステーブルコインは現状で世界の資金フローの1%に満たず、金融に関わる基盤を根底から変えるには多くの課題が残されているとストラテジストらは分析している。

現行の成長ペースを踏まえると、市場規模は2倍から3倍に拡大する可能性が高いとJPモルガンは指摘。この見通しは、他の予想に比べてかなり控えめな水準となっている。

原題:Stablecoin $2 Trillion Forecast Is ‘Optimistic,’ JPMorgan Says(抜粋)

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