米最大の送電網運営会社PJMインターコネクションを利用する企業や家庭の支出が過去最高となる見通しだ。人工知能(AI)ブームによる需要増を背景に、発電能力の増強を求める声がエネルギー業界団体などから上がっている。

PJMによると、発電事業者などに支払う費用は161億ドル(約2兆3600億円)と、昨年記録した過去最高額(147億ドル)を上回った。これにより、1メガワット・1日当たりの容量価格は269.92ドルから329.17ドルに上昇する。

AIブームで電力需要は数十年ぶりの大きな伸びとなっており、それに伴って電気料金も上がっている。

電力業界では、発電所の増設が需給逼迫(ひっぱく)を和らげるとともに、収益を確保する手段として注目されている。ただ、政治家がエネルギー高に敏感になっている中で、こうした取り組みが消費者のコスト増を招く恐れもある。

元電力トレーダーで、電力予測会社アンペロン・ホールディングスの最高経営責任者(CEO)、ショーン・ケリー氏は「これは文字通り発電能力が不足していることを示している」と指摘。「トレーダーや資産の保有者には良いことだが、消費者には好ましくない」と話す。

 

PJMは今後見込まれる需要の増加分のうち、AIがどれほど関連しているかは明示しなかった。一方、同社のエグゼクティブバイスプレジデント、スチュ・ブレスラー氏は22日、「需要増の大半は大規模な負荷とデータセンター新設によるものだった」と説明した。

原題:AI Boom Leads to Record Costs on US Grid and Call for New Plants(抜粋)

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