電気自動車(EV)メーカー、米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は23日の決算説明会で、EVの優遇措置の終了により今後四半期は「厳しい」局面になる可能性を示した。これを受け、株価は23日の米株式市場時間外取引で一時5.2%下落した。

同日発表の4-6月(第2四半期)決算では、利益と売上高がウォール街の予想を下回った。競争の激化やマスクCEOへの反発が業績に影を落とした。

発表資料によると、調整後1株利益は40セントで、アナリスト予想平均をわずかに下回った。売上高は12%減の225億ドル(約3兆3000億円)。市場予想に届かず、少なくとも過去10年で最大の減収となった。一方で粗利益率は市場予想を上回った。

テスラはロボタクシーや低価格車の計画が引き続き前進しているとしたものの、アナリスト向け決算説明会では今後の見通しに対する懸念を完全には払拭できなかった。

マスクCEOは通常より控えめな口調で、ロボタクシーのサービスを年内に新たな都市へ拡大するとの見通しを示す一方で、EV向け優遇措置の終了により、主力の自動車事業に影響が及ぶと警告した。

売上高が減少した要因としては、他の自動車メーカーへの規制クレジット売却収入や納車台数の減少、車両の平均販売価格の低下が挙げられる。また、エネルギー発電および蓄電事業の売上高も減少した。

一方で、急速充電器「スーパーチャージャー」のネットワークを含む事業部門は業績の下支えとなった。ただ、バイブハブ・タネジャ最高財務責任者(CFO)は、最近可決された米国の税制・歳出法案やトランプ大統領の関税措置が需要に悪影響を与えると警告した。

マスクCEOがトランプ米大統領を支持して以来、テスラのブランドに対する賛否はますます分かれている。マスク氏が短期間ながら政権に協力した際には、政府支出の大幅削減を試みたことが、リベラル寄りの顧客層の多くから批判を招いた。本業の妨げになるとの懸念も一部浮上し、複数のアナリストがここ数週間で業績見通しを下方修正していた。

規制クレジット売却収入は4-6月期に26%強減少し、4億3900万ドルとなった。トランプ政権による燃費基準の違反罰則撤廃に伴い、この収入は今後急減する見通し。

テスラはまた、6月に「より手頃な価格の新型車の初期生産を開始した」と明らかにした。「モデルY」に似た外観になる見通しの新型車は販売減少を食い止める重要な要素と位置づけられている。

ロボタクシー事業については、サービスの改善と拡大を目指すとし、将来的に成長の可能性がある場所としてカリフォルニア、ネバダ、アリゾナ、フロリダの4州を挙げた。

経営陣は年末までに同事業のネットワークが「米国人口の半数」に届く可能性があるとの見通しを示したが、サンフランシスコ湾周辺のベイエリアを含め一部地域では規制当局の承認が必要だとした。

マスク氏は決算説明会で、自動運転と人型ロボット「オプティマス」の開発プログラムの重要性を改めて強調。「テスラが車両の自動運転と人型ロボットの自律性において引き続き成果を上げ続ければ、世界で最も価値のある企業になるだろう」と述べた。ただ、関連投資に伴う「いくつかの初期の試練はあろう」と付け加えた。

原題:Musk Warns That Tesla Faces a ‘Few Rough Quarters’ Ahead、Tesla’s Sales Fall Most in a Decade in Another Rough Quarter (3)(抜粋)

(マスク氏の発言などを追加して更新します)

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