(ブルームバーグ):米グーグルの親会社アルファベットが23日発表した4-6月(第2四半期)決算では売上高が力強い伸びを示した。人工知能(AI)関連製品への旺盛な需要が追い風となった。
一方で同社は大規模設備投資が不可欠だとして通期設備投資見通しを引き上げた。このためAI競争に向けた巨額投資の正当性が一段と問われる状況となっている。
同社の発表によると、通期設備投資は850億ドル(約12兆4400億円)となる見込み。従来は750億ドルと予想していた。4-6月期売上高はパートナーなどに支払われるトラフィック獲得コスト(TAC)を除いたベースで817億ドルと、ブルームバーグがまとめたアナリストの予想平均(796億ドル)を上回った。
同社の株価は時間外取引で当初下落したものの、スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)が電話会合で、「クラウド顧客からの需要に応えるには、AIインフラへの投資が不可欠だ」と説明したことを受けて反発。プラス圏で推移している。
マイクロソフトやオープンAI、メタ・プラットフォームズなどが巨額のAI投資を続ける中で、アルファベットは追随せざるを得ない状況だとアナリストは指摘する。特にグーグルにとっては、競合他社が開発するチャットボットが将来的に自社の主力製品である検索サービスを脅かす可能性があることから、対応は急務となっている。
調査会社フォレスターのアナリスト、ニキル・ライ氏は「グーグルは、オープンAIとの競争によって、AIインフラやアプリへの巨額投資を余儀なくされている」と説明した。
アルファベットのAI分野への巨額投資は、グーグルの中核事業である検索広告と、成長を続けるクラウド事業に支えられている。こうした中で、グーグルは新たな検索機能やクラウド向けツールの迅速な市場投入が求められている。ピチャイ氏は「当社のAI製品全体への需要が著しく高まっている」と述べた。
アナト・アシュケナージ最高財務責任者(CFO)は、設備投資は来年も拡大するとの見通しを示したが詳細は明らかにしなかった。
グーグルのクラウド部門の4-6月期業績は、売上高が136億ドル、営業利益が28億3000万ドルと共にアナリスト予想を上回った。クラウド市場シェアでは依然、マイクロソフトとアマゾン・ドット・コムに次ぐ3位にとどまっているものの、AI技術を強みに顧客基盤を広げている。検索広告が成熟しつつある中で、クラウドはアルファベットにとって最も強力な成長エンジンとみられている。
グーグルは、主力生成AIモデル「Gemini(ジェミニ)」を自社製品群に急速に組み込みつつあり、法人顧客への展開も積極的に進めている。今年発表された最新バージョンには多くのAI専門家が注目したが、普及度では依然としてオープンAIの「ChatGPT(チャットGPT)」に後れを取っているとみられている。
動画サービス「YouTube(ユーチューブ)」の4-6月期広告収入は98億ドルと、市場予想(95億6000万ドル)を上回った。
自動運転車事業ウェイモなど未来志向の事業群であるアザー・ベッツ部門の売上高は3億7300万ドルと、市場予想(4億2910万ドル)を下回った。アシュケナージ氏はウェイモへの資源投入を継続する方針を明らかにした。
原題:Alphabet Boosted by AI, Cloud Demand as Spending Needs Skyrocket、Alphabet Reports Sales Jump, Boosts 2025 Capital Spending (2)、Alphabet Slips After Boosting Guidance for Capital Expenditures(抜粋)
(CEOの電話会合での発言などを追加して更新します)
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