米スターバックスが中国国内の一部店舗で無料の「学習室」を設ける新たなサービスを始めた。同社にとって世界第2の市場である中国で競争が激化する中、客足の増加につなげる狙いがある。

スターバックスの中国法人が今週、微博(ウェイボ)の公式アカウントに投稿した発表文によると、輸出産業や製造業などの拠点で、数百万人の若い労働者が暮らす広東省南部の一部店舗に学習スペースが設置された。利用に際して商品を購入する必要はないほか、時間制限はなく、事前予約も不要。書籍の寄贈コーナーも併設されている。

同国では、安さが売りのコーヒーチェーン、瑞幸咖啡(ラッキンコーヒー)による新製品の投入や、中国茶チェーンの人気の高まりなどで競争が激化。ブルームバーグは、スターバックスが中国事業の持ち分売却を含めて検討していると報じている。

スターバックスは中国事業を新たに率いている劉文娟氏の下、米国とは異なる戦略を展開。米国では今年から店内やテラス席、トイレの利用に商品の購入を義務付けるルールを導入しているが、中国本土ではこうした方針は取られていない。

さらに、砂糖不使用の飲料や地元の嗜好(しこう)に合わせたティーメニューの拡充、飲料価格の引き下げ、カスタマイズの選択肢増加などを進めている。業務効率向上のためにメニューの簡素化を進める米国店舗とは対照的な動きをとっている。

スターバックスの中国法人で幹部を務め、現在は上海で小売業のコンサルティング会社を経営するジェシカ・グリーソン氏は「スターバックスは、Z世代に最初の一杯を楽しんでもらう方法を模索している」と指摘。さらに「店内でのアクティビティは、新規顧客の呼び込みだけでなく、地域社会との関係を築くことができ、シンプルだが効果的な戦略だ」と語る。

新たに採用された中国の最高成長責任者(CGO)は競合他社の成功を支援した手法を取り込み、映画やアニメ、歌手とのコラボレーションを増やしている。直近の四半期では中国本土の売り上げ減少に歯止めがかかっているとみられている。

原題:Starbucks Opens Free Study Rooms in China to Lure Customers (1)(抜粋)

--取材協力:Karthikeyan Sundaram.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.