(ブルームバーグ):投資家は何年も前から、トランプ米大統領のソーシャルメディア投稿に振り回されてきた。しかしこれまでさほど関心を集めなかった米連邦住宅金融局(FHFA)の局長による投稿も、今では目を離せない状況となった。
信用スコアのプライシングから、ローン資産としての暗号資産(仮想通貨)、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の進退に至るまで、FHFAのパルト局長がさまざまな領域について発言するたび、株式相場は大きく揺れ動く。信用リスク分析のフェア・アイザックは先週11日、パルト氏の謎めいたコメントや投稿が影響し、約5年ぶりの大幅安となった。他の信用情報会社の株価も下げ、S&P500種株価指数全体が押し下げられる場面もあった。
インタラクティブ・ブローカーズのチーフストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏はパルト氏の影響力について「本来は地味なFHFA局長という役職を、ビジネスニュースの最前線に押し出した」と解説した。

11日の相場下落は短時間であったが、パルト氏がXに「パウエル氏が辞任を検討しているという報道に勇気づけられている」と投稿した数分後、S&P500種が約0.2%下落した。同氏の投稿は具体的な報道に言及していない。そのような報道は現時点で確認されていない。
投資家のパルト氏はオンライン上の論争と無縁ではない。トランプ政権に入る前はオンライン慈善家を自称していた同氏は、X上で複数の論争に関与してきた。同氏はまた、ソーシャルメディアのフォロワーに現金を提供することでも知られていた。
ウォーレン上院議員(民主)は上院銀行・住宅・都市問題委員会で開かれたパルト氏の指名公聴会で、Xでの役割を問題視した。ウォーレン議員は書簡で、パルト氏が2024年の大統領選挙から数日後、Xで自分のアカウントから2万5000件を超える投稿を削除したようだと指摘した。
パルト氏の投稿には、政権入りによって新たな重みが加わった。フェア・アイザックの株価はパルト氏によるXでの連続投稿が影響し、5月21日には16%下落。時価総額にして78億ドル(約1兆1500億円)が吹き飛んだ。
パルト氏のコメントはトランスユニオンやエキファックスなど他の信用サービス企業にも影響し、いずれも株価が下げた。
株式市場で波風を立てているトランプ政権高官は、パルト氏に限らない。ベッセント財務長官とラトニック商務長官は数カ月前から、インタビューなどの発言が株式相場を高下させている。
トランプ氏は14日、ホワイトハウスで開かれた昼食会でベッセント長官について「素晴らしい仕事ぶりだ」と称賛。「長官はテレビに出て、市場を落ち着かせている」と述べた。
原題:Pulte’s Social Media Posts Become Must-Follow for Stock Traders(抜粋)
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