米国の大手銀行6行は、来週発表予定の4-6月期(第2四半期)決算で、好業績を示す見通しだ。トランプ大統領による関税発表後の激動の時期を経て、銀行幹部らは、今後さらなる規制緩和によって収益がさらに拡大する可能性に言及するとみられる。

ブルームバーグの集計によると、米国の大手6行で、トレーディング収益の増加が予想されている。特に4月のトランプ氏による上乗せ関税発表後、一部の銀行で記録的な取引が相次いだことが主な要因だ。

株式トレーディング収入では、ゴールドマン・サックス・グループが37億ドル(約5430億円)で首位となる見通しで、モルガン・スタンレーがそれに続きそうだ。債券・為替・商品(FICC)トレーディング収入は、JPモルガン・チェースが52億ドルと予想され、シティグループがそれに次ぐ見通しだ。

 

決算よりも不透明なのは、トランプ政権の政策を追い風に、大手銀行がどのようにして利益拡大を図ろうとしているのかという点だ。米規制当局は資本規制の緩和を計画しており、近年急成長を遂げてきたジェーン・ストリート・グループやシタデル・セキュリティーズといったマーケットメーカー(値付け業者)系ノンバンクとの競争において、銀行が取引シェアを奪還する一助になる可能性がある。

特に、補完的レバレッジ比率(SLR)の緩和により、銀行の米国債の保有余力が拡大し、収益性の高い業務の処理能力も増すとみられている。UBSグループのアナリスト、エリカ・ナジャリアン氏は「ここで問われているのは、ゴールドマンやモルガン・スタンレーのような大手銀行が、ノンバンクから市場シェアを奪い返せるかどうかだ」と述べ、それがSLRの緩和の大きな影響の一つになりえるとの見通しを示した。

投資銀行部門の業績は、ややまちまちになる見通しだ。第2四半期の案件は、トランプ氏による貿易戦争の影響で不確実性が高まり、停滞したものが多い。

ゴールドマン、モルガン・スタンレー、シティグループ、ウェルズ・ファーゴは前年同期比で投資銀行部門の収益が増加する見通しだが、JPモルガンやバンク・オブ・アメリカは減益と予想されている

原題:Big US Banks Set to Post Trading Gains on Trump’s Tariff Turmoil(抜粋)

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