(ブルームバーグ):英政府は企業のコスト削減と金融市場の競争力強化を目的に、紙の株券の廃止に踏み切る。リーブス英財務相がロンドン市長公邸(マンションハウス)で15日に予定する毎年恒例の演説で発表する見通しだ。事情に詳しい関係者が明らかにした。
紙の株券は、実物証券の発行や紙ベースの株主名簿の維持に係る事務コストの大きさから、FTSE100種株価指数の構成企業の多くから長年にわたり廃止が求められていた。今回の措置により、英国の資本市場を完全電子化し、金融街シティーの競争力強化を図る。
現在も紙の株券は、英国の主要上場企業の株式を保有する数万人規模の個人投資家に利用されているが、2023年に英政府がアバディーン・グループ会長に委託した報告書では、紙の株券廃止は英国の資本市場のデジタル化に向けた主要提言の一つとされていた。
英国に株式会社制度が導入されて以降、およそ400年にわたり利用されてきた紙の株券だが、いまや世界の主要市場で実物証券を使用し続けている国はほとんど残っていない。
リーブス財務相は今回の措置を、英金融の現代化と効率化の一環と位置づけ、国内投資と経済成長の促進に資する政策として打ち出す見通し。
関係者の1人によると、財務相の計画では、紙ベースの株主名簿をデジタル名簿に置き換え、最終的には全ての株式を単一のシステム上で保管する体制への移行を目指す。
今回の計画は、ロンドン株式市場の縮小という背景を踏まえた対応だ。英国の複数の有力企業が新規株式公開(IPO)の場としてニューヨークを選択しているほか、上場企業の一部は他の取引所への上場先変更を進めている。
リーブス財務相はこうした状況に対処するため、年金基金に対し英国株への投資配分拡大を促しているほか、規制当局に対しても成長を促進するスタンスを求めている。

原題:UK to End Paper Shares After 400 Years to Boost City’s Appeal(抜粋)
--取材協力:Bre Bradham.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.