(ブルームバーグ):中国のフードデリバリー市場の競争長期化を受け、電子商取引大手のアリババグループは時価総額1000億ドル(約14兆7000億円)を失った。利益や投資家の信頼への打撃に終わりが見えない。
アリババの香港上場株は3月の高値から今月10日までに28%下げ、中国テクノロジー株の指標、ハンセンテック指数のほぼ2倍の下落率となっている。「内巻」と呼ばれる過当競争の抑制に向けた政府の取り組みが日々報道される中、ライバルのJDドットコム (京東)や美団の株価も同様に下落している。
ゴールドマン・サックス・グループやHSBCホールディングスなど少なくとも4社が、6月後半以降にアリババの目標株価を平均8%引き下げた。
香港のバリュー・パートナーズ・グループで投資ディレクターを務めるルオ・ジン氏は、競争が「予想より長期化する可能性がある」と指摘。「各社は以前よりも財務的に余裕があり、手元資金がより潤沢で、キャッシュフローの状況も上向いている」と述べた。
中国のスタートアップDeepSeek(ディープシーク)主導の人工知能(AI)ブームを受けてアリババの株価は今年2カ月で80%余り上昇したにもかかわらず、同社のフードデリバリー戦略が投資家離れを招いている。JDドットコムが2月にフードデリバリー市場に正式に参入して以来、アリババはデリバリー部門を中核事業に統合し、補助金を増額している。
ゴールドマンによると、アリババは来年6月までの1年間で、フードデリバリー事業で410億元(約8400億円)の損失を計上する可能性がある。
「フードデリバリーやインスタショッピングへの積極投資は、短期的な業績見通しの大きな重しとなる」と、シャーリーン・リュー氏らHSBCのアナリストは今週のリポートで指摘し、アリババの目標株価を15%引き下げた。

原題:Alibaba Risks Deepening $100 Billion Rout as Turf War Heats Up(抜粋)
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