トランプ米大統領は10日、カナダからの輸入品の一部に8月1日から35%の関税を適用すると明らかにした。カナダのカーニー首相に関税率を通知した書簡をトゥルース・ソーシャルで公開した。

カーニー政権は、米大手テクノロジー企業を対象とするデジタルサービス課税(DST)を先に撤回し、懲罰的な関税の回避を目指してきたが、打撃は避けられそうにない。

トランプ大統領はこれより先、NBCニュースとのインタビューで、新たな関税率を提示していない大多数の貿易相手国・地域に対し、15%ないし20%の関税を一律に課す予定であり、数字をこれから詰めると述べた。

欧州連合(EU)加盟国も新たな関税率を通知する書簡を米国時間のきょうかあすにも受け取るだろうと説明し、「きょうそうしたいと考えている。今後数時間で出すことになるだろう」と発言した。

トランプ政権の一律関税は、今年4月5日に発動した10%が現在適用されている。トランプ氏は7日以降、日本(25%)を含む貿易相手国・地域への上乗せ関税率をあらためて順次公表し、8月1日から発動するとしている。

 

トランプ政権はカナダに対し、今年3月に発動した25%の関税を課している。今後適用する35%の関税は、自動車や鉄鋼・アルミニウムなど全てのセクター別関税とは別に賦課される見込みだ。

それでも米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の基準に適合するカナダからの輸入品は、関税の免除が継続されることになりそうだ。米当局者が匿名を条件に明らかにした。

カナダの対米輸出の大部分がUSMCAの基準に該当するため、全品目一律35%の税率が適用される場合と比べれば、今回の方式は今のところ、はるかに穏やかな貿易関係の変更と言うこともできる。

自動車産業のように密接に統合され、両国間の貿易フローがかなり均衡している分野では、例外措置が維持されるだろう。カナダは米国製車両の最大の輸出先であり、米政府のデータによると、昨年は約62万9000台の乗用車とライトトラックを輸入した。

当局者によれば、トランプ政権がエネルギー関連の輸入品に課す10%の関税、金属を含む主要品目への追加関税は維持される見通しだ。ただ状況は引き続き流動的で、法的規定も策定されていない。トランプ氏の関税プランは予測不能であり、期限の直前に変更されることも多い。

米・カナダ国境に架かるピースブリッジ

トランプ氏はカーニー首相に宛てた書簡で、カナダが米国内での製品製造を決定すれば、関税の発動はなくなるだろうとしながらも、「貴国が何らかの理由で関税の引き上げを決めれば、どんな数字を選択しようと、われわれが課す35%にそれが上乗せされる」と伝えた。

さらに「(合成麻薬)フェンタニルだけが唯一の問題とは言えない。カナダの多くの関税と非関税、政策、貿易障壁が米国に対し持続不可能な貿易赤字を生じさせている」と主張した。

アジア時間11日午前の取引では、カナダへの35%関税適用の報が伝えられると、カナダ・ドルの対米ドル相場が下落し、一時0.6%安の1米ドル=1.3731カナダ・ドルを付けた。米ドルは対主要通貨で上昇し、米株価指数先物は下落した。

カナダ政府は先月29日、米国との互恵的な包括的貿易取り決め締結に向け、米テクノロジー企業に課すDSTを撤回すると発表。カナダのカーニー首相とトランプ氏は7月21日までの合意を目指し、貿易交渉を再開することで一致していた。

原題:Trump Threatens 35% Canada Tariff, Floats Higher Global Rate (3)、Trump Set to Keep Tariff Exemption for USMCA Goods: US Official(抜粋)

(USMCAの影響などを追加して更新します)

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