(ブルームバーグ):米マイクロソフトは、数千人規模の人員削減を進める一方で、人工知能(AI)による自社業務改革の成果を従業員にアピールする姿勢を強めている。
今週行われた社内プレゼンテーションで、ジャドソン・アルソフ最高商務責任者(CCO)は、AIツールが営業や顧客対応、ソフトウエア開発など、あらゆる分野で生産性を高めていると述べた。事情に詳しい関係者が内部情報であることを理由に匿名で明らかにした。
アルソフ氏はAI導入による昨年の成果として、コールセンター業務だけで5億ドル(約730億円)強のコストが削減され、従業員と顧客の満足度が向上したと説明。また、小口顧客対応にもAIを導入し始めており、まだ初期段階ではあるものの、すでに数千万ドル規模の効果を生み出していると述べたという。
マイクロソフトはこの件に関してコメントを控えた。
テクノロジー企業各社の経営幹部は、これまで人間が担ってきた業務を自動化するAIの可能性をますます強調するようになっている。セールスフォースは、社内業務の30%がすでにAIによって処理されており、一部職種で採用を減らすことを可能にしていると明らかにしている。グーグルの親会社であるアルファベットやメタ・プラットフォームズの幹部は、コードのかなりの部分がAIによって書かれていると述べている。
アルソフ氏はマイクロソフトの新製品向けコードの35%がAIによって生成されており、これによって製品開発が加速していると説明した。
こうしたAIの導入拡大は、とりわけテック業界の従業員の間で職が奪われるのではないかという不安を呼んでいる。マイクロソフトは今年に入り、約1万5000人の人員削減を発表しており、先週発表されたレイオフでは営業など顧客対応職が中心となった。
アルソフ氏は従業員に対し、AIは担当者の営業能力を高めるものだと強調。同社のAIアシスタント「Copilot(コパイロット)」を活用することで、より多くの見込み客を見つけられ、契約成立が早まり、売上高は9%増加したと述べたという。
なお、マイクロソフトのブラッド・スミス最高法務責任者(CLO)は9日のイベントで、過去数カ月の人員削減について、AIによる生産性向上が「主因ではない」との見解を示した。
原題:Microsoft Touts $500 Million AI Savings While Slashing Jobs (1)(抜粋)
--取材協力:Matt Day.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.