フジ・メディア・ホールディングスは10日、旧村上ファンド系投資家のレノなどが同社株を買い集めていることを受け、大規模買い付け行為に対する対応方針を導入すると発表した。

同社の資料によると、議決権割合が20%以上となる買い付け行為が行われる具体的な懸念があると判断できることから、既存の株主に新株予約権を無償で割り当てることを検討する。旧村上ファンド系は1日時点で、フジHD株を15.06%保有しているという。

フジテレビのロゴ

フジHDは、今年2月以降、アクティビスト(物言う株主)の村上世彰氏や長女の野村絢氏と複数回面談したことを明らかにした。33.3%の株式を取得する可能性があることが示唆されたほか、子会社のスピンオフを検討するよう求め、スピンオフした会社の経営権を村上氏が取得しようとしていることも示唆されたという。

フジHDは、旧村上ファンド系が株式を買い増せば、特別決議事項に関する拒否権を取得することになり、フジHDの経営判断に強い影響を及ぼすことなどが可能になると説明した。旧村上ファンド系が自身の利益最大化のための行動に出ることを懸念しているとした。

きょうの株式市場で同社株は寄り付きから売られ、一時前日比4.2%安の3285円と6月30日以来の日中安値を付ける場面があった。

しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャーは、今回の対応は実質的な買収防衛策で、経営者の保身に使われるリスクもあるため「第一印象はよくない」と指摘した。株価下落の背景には、旧村上ファンド系の影響力が薄まることへの懸念があると分析した。

フジHDが先月開催した定時株主総会では、会社側が提案した取締役11人の選任案が可決され、ガバナンス改革に取り組むとともに経営を立て直すとしていた。一方、アクティビストは、不動産事業をスピンオフするよう圧力を強めており、改革の方向性を巡る対立が鮮明になってきている。

(発表内容などを追加しました)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.