米連邦最高裁は8日、トランプ大統領が連邦政府の大規模縮小計画を進めることを容認する判断を示した。下級審は19の連邦省庁・機関の人員削減に対し一時差し止めを命じていたが、最高裁が覆した。

最高裁判事らは、差し止め命令の効力停止を求めるトランプ政権の申し立てを1人の反対意見を除いて認め、2月11日に発令された大統領令の実施を容認する判断を示した。この大統領令により数十万人の連邦職員が職を失う可能性があると反対の声が上がっている。最高裁の判断は、訴訟が続く間、適用される。

最高裁は署名のない命令文で、大統領令と行政管理予算局(OMB)・人事管理局(OPM)による共同文書が合法であるという政権側の主張が最終的に認められる可能性が高いとの見解を示した。だが、判事らは、各機関の実施計画が法的に認められるかどうかについて、現段階では判断を示していない。

大統領令の差し止めを求め提訴した連邦職員労働組合と非営利団体、市・郡の政府から成る連合体は共同声明で、今回の「判断はわが国の民主主義に深刻な打撃を与え、米国民が頼りとするサービスを重大な危機にさらすものだ。この判断は、議会の承認なしに政府機能の再編や連邦職員の大量解雇を無計画に行うことは憲法で認められていないという単純かつ明白な事実を変えるものではない」と批判した。

ボンディ司法長官はソーシャルメディアへの投稿で、「最高裁は無法な下級裁判所がトランプ大統領の連邦職員に関する権限を制限するのを阻止した」とし、「連邦機関はこれまで以上に効率化できるようになる」との見解を示した。

今回の最高裁判断は、この訴訟を巡る最終的な判断を示すものではないものの、トランプ政権による連邦政府職員再編の取り組みで重要な節目となる。影響を受ける対象機関には、保健福祉省、内国歳入庁(IRS)、退役軍人省、労働省、エネルギー省、環境保護局(EPA)などが含まれる。

連邦職員の大量解雇を巡る訴訟で最高裁がトランプ政権を支持したのは、4月8日の判断に続き今回で2度目。最高裁は、教育省の解体再開を求める政権側の申し立てについても審理中だ。

原題:Supreme Court Lets Trump Proceed With Broad Workforce Cuts (2)(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.