(ブルームバーグ):米アマゾン・ドット・コムの大型セールイベント「プライムデー」が、トランプ米大統領の貿易戦争という逆風に直面している。目まぐるしく変わる関税方針を受けて、セールへの参加を見送る売り手が出ているほか、消費者の中には購入を控える動きが見られている。
8日から4日間にわたって開催される今回のプライムデーは、米経済の力強さを巡ってさまざまな見方がある中で、消費者の支出傾向や購買動向に関する手がかりを提供する可能性がある。
アドビのアナリスト、ビベク・パンドヤ氏は「プライムデーは消費者の購買意欲を見極める初期的な手がかりになるだろう。値下げ幅が大きくなると見込まれる衣料品や電子機器、テレビといったカテゴリーでは特にそうだ」と指摘した。4日間のイベントでアマゾンなどの米小売企業は総額238億ドル(約3兆5000億円)のオンライン売上高を計上すると、アドビでは見込んでいる。
トランプ大統領は4月、「解放の日」と呼んで中国を含む180カ国・地域に対する新たな関税措置を発表し、世界の市場を動揺させた。最大145%に達した関税率は交渉を進める間、引き下げや適用延期が実施されているが、不確実性は暗雲のように立ち込めたままだ。トランプ氏は7日7日、日本や韓国などに対して、8月1日までに貿易協定がまとまらなければ関税を課すと再び警告し、不透明感をあおった。
米経済指標は今のところ個人消費の底堅さを示唆しているものの、関税発効前に自動車を購入するといった短期的な賢い消費行動が、長期的な見通しをかえって曇らせる可能性もある。5月には個人消費がわずかに減少したが、6月には消費者信頼感が上昇した。プライムデーは今夏の動向を見極める手がかりになるかもしれない。
「プライムデーは、まさに試金石となるだろう」と語るのは、オンライン小売業者向けのソフトウエアを販売するアケネオのロマン・フアッシュ最高経営責任者(CEO)だ。同社が米消費者1000人を対象に実施した調査では、回答者の4人に1人が関税を理由にプライムデーでの購入を見送る意向を示した。57%は価格をより慎重にチェックすると答えた。
セールを様子見しているのは消費者だけではない。アマゾンのウェブストアで販売される商品の約60%を供給するオンライン小売業者の中にも、今年は割引を断念する動きが出ている。関税によるコスト増の価格転嫁に努めているためだ。
カクテル愛好家向けの装飾用アイスキューブを作るアルミ製トレイ販売業者、アップストリーム・ブランズのダン・ペスコース氏は、通常プライムデーには自社ブランドの認知度向上のため原価で商品を販売する。しかし今回は50%の関税対象となったため、初めて割引を行わないことを決めた。
「今年はとにかく様子を見るつもりだ」とペスコース氏。ミズーリ州セントルイスに本社を置く同社の年間売上高は約400万ドル。その大半をアマゾンでの販売が占めている。「プライムデーの割引を実施する余裕はもうない」と語った。
原題:Amazon Sellers Curb Prime Day Discounts With Tariffs Taking Bite(抜粋)
--取材協力:Matt Day.
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