(ブルームバーグ):米国の関税政策を巡る動きに株式市場では安堵感が広がっている。トランプ米大統領が7日、発表した日本向け関税率が25%にとどまったほか、交渉期限が実質的に延長されたためだ。
ストラテジストやアナリストの見方は以下の通り。
ピクテ・ジャパンの田中純平投資戦略部長
- トランプ氏が当初発言していた30-35%より低い関税率が示され、やや買い安心感につながっているようだ
- 複数の国に示された書簡の中で日本は最も低い関税率に分類され、交渉進展への期待を高める要因に
楽天証券の土信田雅之シニアマーケットアナリスト
- 税率が30%であれば市場の反応が違った可能性もあるが、日経平均株価は警戒感で売られた分の戻しも期待でき、再び4万円トライもあり得る
JPモルガン証券の西原里江チーフ日本株ストラテジストら
- 4月に発表された24%からほとんど変わらないまま8月1日まで交渉期間が延長された形だ
- 参院選を控え、自動車やコメ分野の交渉で日本側が妥協するハードルが高まる中、税率引き上げのない期限延長は日本にとっては最も望ましいシナリオ
- 25%が最終化されるかは不確実だが、日本が報復しない限り25%が上限に。交渉による引き下げ余地も
HSBCホールディングスのアジア担当チーフエコノミスト、フレデリック・ノイマン氏
- 投資家は今回の発表をあまり深刻に捉えておらず、最終的な措置というより、交渉を加速させるための戦術とみている
T&Dアセットマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダー
- 25%が高いことは間違いないが、7月下旬の参院選後に日米間で貿易協定がまとまる可能性についてはまだ楽観的な見方もある
- 一方、トランプ氏が欧州と日本を同等に扱っていないように見える点は不安材料として残っており、相場の上げ幅は限定的だろう
アストリス・アドバイザリー・ジャパンの投資戦略責任者、ニール・ニューマン氏
- トランプ氏は発言と実際の行動が大きく異なることが多い。8月1日までまだ交渉で解決する時間は残されている
- 日本の自動車株の下落余地は限定的だろう。すでに同セクターへの投資は抑制されており、どちらかといえば投資家は長期的な回復を見据えてポジションを取っていく状況だ
--取材協力:佐野日出之、アリス・フレンチ.
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