日本の債券市場で30年債利回りが再び3%を突破し、過去最高水準に迫っている。7月下旬の参院選や日米通商交渉の行方を巡る不透明感が高まり、政治リスクが長期ゾーンの売り圧力につながっている。

8日の取引で30年債利回りは一時3.09%と、前日比で12.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇。5月に記録した3.185%の過去最高水準に接近した。40年債利回りも12.5bp上昇して3.37%を付け、20年債利回りは一時8.5bp高い2.51%まで水準を切り上げた。

日本の金利急騰が世界市場に波及した5月、財務省は超長期国債の発行削減に踏み切ったが、足元では再び借り入れコストが上昇基調を強めている。

背景には、7月20日に控える参院選への思惑がある。与党・自民党は連立を組む公明党と合わせて現在は参議院で安定多数を占めているが、選挙結果次第では石破茂政権の基盤が揺らぐリスクがある。与党は現金給付などを掲げ、野党は消費税の減税を主張しており、いずれの方向にせよ財政支出の拡大が市場の懸念材料となっている。

三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは超長期金利上昇の背景について、財政の悪化懸念があるとみる。米関税による景気下押しが財政拡張政策につながるとの懸念が高まり、超長期債の売り材料になっていると指摘した。

 

金利上昇圧力は日本だけではない。各国政府の過剰な財政支出に対する世界的な懸念を反映している。米国では、財政見通しに対するリスクが長期債の利回りを押し上げている。今週は米国で10年債と30年債の入札を控えていることも売り圧力を強めている。日本では10日に20年債入札が実施される予定だ。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジストは、市場流動性が低下しており、買い手が乏しいため値が大きく動きやすいと指摘。「少なくとも参院選までこうした状況が続く可能性があり、休みもなかなかとれない」と語った。

ブルームバーグのストラテジストは次のように指摘する:

こうした状況は、今週予定されている20年債入札にとって厄介な組み合わせだ。20年債は過去にも波乱含みの結果となることが多く、長期ゾーンの利回りにボラティリティーをもたらしてきた経緯がある。さらに、債券投資家は先週の30年債入札による損失をいまだ引きずっている。市場価格ベースで評価すると含み損を抱えており、投資家心理に重くのしかかっている。

ただ、超長期債の主要投資家である生命保険会社の中には楽観的な見方もある。最大手の日本生命保険は、超長期債の需給改善や日米関税交渉の進展で超長期金利が緩やかに低下していくとみている。住友生命保険も、再び超長期債の需給懸念が強まれば同時に当局の追加対応への期待が醸成され、超長期金利やボラティリティーの高騰は沈静化すると予想。4-6月期は金利上昇局面で年度資金配分を早めのペースで投資したと明かした。

2年債や5年債といった中期ゾーンの国債は、相場全体が荒れる中でも小幅な値動きにとどまっている。8日に実施された5年債入札では堅調な需要が確認された。

(第7段落にストラテジストのコメントを追加)

--取材協力:山中英典、日高正裕.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.