金融庁は30日、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の見直しを検討する方針を示した。株主や株価を意識するあまり経営資源を自社株買いに振り向ける企業に対し、持続的な成長に向けて積極的な成長投資を促す狙いがある。

同日発表した「コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム2025」に盛り込んだ。同指針の見直しは2021年以来となる。

アクション・プログラムによると、見直しに関連するのは、持続的な企業の成長に向けた経営資源の配分について。配分先として、設備や研究開発、スタートアップなどを含む成長投資をはじめ、人的資本や知的財産などを挙げた上で、多様な投資機会があることを認識することが重要だと指摘。また、企業が持つ現預金が積み上がる中、投資などに有効活用できているのか検証・説明責任の明確化を検討するという。

今一度、指針策定時の精神に立ち返り、「稼ぐ力」の向上に資するコーポレートガバナンス改革を推進することが重要だと訴えた。

そのほか、独立社外取締役や取締役会事務局(コーポレートセクレタリー)の機能強化に向けて、上場企業の担当者などで議論する「コーポレートガバナンス実践コンソーシアム」(仮称)を立ち上げる方針も明らかにした。

金融庁は企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を促すことを目指してアクション・プログラムを23年から毎年作成しており、今回で3回目となる。

【アクション・プログラム2025の主な内容】

  • 有価証券報告書で従業員給与・報酬の決定に関する方針や、従業員給与平均額の前年比増減率等の開示を求める
  • 大量保有報告制度違反に関する課徴金水準の引き上げを検討
  • 政策保有株式を売らせないように圧力をかけている事例が見られることについては、実効性確保の在り方を含め、対応を検討
  • 東京証券取引所において、親子上場に関してグループ経営や少数株主保護に関する検討や開示を推進

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