(ブルームバーグ):石破茂首相は29日、参院選(7月3日公示・20日投開票)の争点となる当面の物価高対策に関して即効性が重要だとし、自民党が公約した給付政策の意義を強調した。
都内で行われた令和国民会議(令和臨調)の会合で語った。石破首相は物価高騰への対応に関し、「当面の物価高に必要なのは即効性だ」とし、子育て中や本当に困っている人に「行き渡るようにしたい」と述べた。消費税に関しては「医療、介護、年金、そのような財源はきちんと確保していかなければならない」と述べ、減税には否定的な考えを改めて示した。
物価高対策を巡り、野党各党は消費減税を主張しているが、首相は社会保障の財源確保の必要性や法改正などで実現までに時間がかかるとして否定的な見解を示してきた。先の東京都議選で自民は敗北したものの、参院選でもこうした方針を維持する姿勢を明確にした形だ。自民は国民1人当たり一律2万円、子どもや住民税非課税世帯の大人に2万円を加算する給付政策を公約に盛り込んだ。
一方、首相の後に登壇した立憲民主党の野田佳彦代表は、特に値上げが続いている食料品に課す消費税率を0%に引き下げることが物価高対策として「最も効果的」だと語った。
共同通信が28、29両日に実施した世論調査によると、物価高対策として現金給付と消費税減税のどちらが望ましいかとの問いに「消費税減税」と回答した人は70.0%、「現金給付」は23.8%だった。参院選の結果、与党が「過半数割れした方がいい」との回答が50.2%に上った。
今回の参院選では改選の124議席に加え、東京都選挙区で非改選の欠員1議席を補充するため、計125議席を争う構図となる。与党は50議席を得れば石破首相が目標とする非改選と合わせた過半数の勢力を確保できる。
社会保障改革
会合では、出席者から税と社会保障、労働政策の改革について政労使や与野党が合意形成を進める協議の枠組みを設置することについても問われた。
石破首相は年金など社会保障制度改革では党利党略を排した議論が必要だとして、超党派の会議体設置に前向きな考えを示した。立民の野田代表も仮に設置した場合は「能動的」に参加する考えを明らかにした。
他の首相発言
- 農林水産、医療、介護、防災部門に伸びる余地-国内総生産(GDP)
- 外交安全保障・財政で一定の一致必要-連立枠組み拡大
- 自民、公明で安定した参院の議席得るべく全力尽くす
各党党首の発言
- 立民の野田代表、ワンポイントのイシューで大連立はあり得ない-基本は単独政権目指す
- 日本維新の会の吉村洋文代表、連立に入るつもりはない
- 公明党の斉藤鉄夫代表、参院選公約の政府系ファンドは国民の理解得てやる必要
- 国民民主党の玉木雄一郎代表、教育国債はマーケットと対話しながら商品設計考える
- 共産党の田村智子委員長、消費税減税の財源は大企業・富裕層の応能負担で
(各党党首の発言などを追加し、更新しました)
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