米海軍の大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載型の原子力潜水艦「USSディストリクト・オブ・コロンビア」の納入を巡って見込まれる1年5カ月の遅延について、海軍作戦部長代理は挽回に向けて取り組むと議会公聴会で発言した。

キルビー海軍大将は24日、上院歳出委員会国防小委員会で「われわれはスケジュールの遅れを挽回しようと必死に取り組んでいる」と述べた。その上で「私は楽観的だが、現時点での納入スケジュールは2029年3月だ」と証言した。

また、キルビー氏はフェラン海軍長官とともに納入スケジュールを前倒しできるかどうか精査していると明かしたが、具体的な日程には言及しなかった。

コロンビア級原子力潜水艦は、米国の核戦力3本柱(トライアド)の一角として配備される予定。陸上配備のICBM「センチネル」と新型戦略爆撃機「B-21」とともに構成される。

12隻で構成されるコロンビア級の設計と建造は、防衛関連事業を手掛ける米ゼネラル・ダイナミクスとハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII)が担っている。

議会の監査機関、政府監査院(GAO)は今月、原潜の最初の2隻の建造費は当初の見積もりを「大幅に」上回ると明かしている。GAOの報告によれば、計画全体の概算費用は6%増加し、約1260億ドル(約18兆円)に上るという。

遅延は1年5カ月、それとも2年?

海軍の調達担当者は、建造や労働力、サプライチェーンの問題によって、潜水艦の引き渡し時期が契約上の期限である27年10月から1-1年半遅れると繰り返し説明してきた。

しかし、キルビー氏が約2年の遅れとなる29年3月と証言したことで混乱が生じている。

キルビー氏の事務所はブルームバーグ・ニュースに対し、「大将の発言は言い間違いではない。『2年』という表現は、27年から29年までの2暦年を指したものだ。明確にすると、事務局は現時点で引き渡し予定は29年3月となり、27年10月から1年5カ月の遅延となると見込んでいる」と文書で回答した。

一方で明るい材料もある。米ノースロップ・グラマンは、長年にわたる遅延を経て今年4月、コロンビア級原潜に推進力と電力を供給するタービン発電機の1基目を納入した。2基目の納入は今夏の予定だと、海軍の当局は声明で述べている。

原題:US Navy ‘Desperately’ Seeking to Stem ICBM Submarine Delay(抜粋)

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