債券市場のレジェンドであるビル・グロース氏が新たに示した見通しは、米国債の強気派にとっては悪いニュースだが、株式投資家にとっては朗報だ。

グロース氏は、米10年債利回りが4.25%を下回るのは難しいだろうと警告。米国の財政赤字拡大とドル下落が重なり、インフレが高止まりするためだと説明した。

その一方で、債券市場や経済成長が精彩を欠いても、人工知能(AI)時代という大きな力によって、株式市場は引き続き上昇する可能性が高いと指摘した。

パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の共同創業者で最高投資責任者(CIO)も務めたグロース氏はXへの投稿で、「株式については『小さな強気相場』、債券については『小さな弱気相場』」を予想すると指摘。「株式はAIに支配されており、引き続き1-2%の経済成長を示唆している」との見方を示した。

グロース氏の債券見通しは、過去のトレンドに基づいている。同氏は金利が現在の水準から大きく低下する理由はほとんどないとし、米10年債利回りは消費者物価指数(CPI)上昇率を約1.75ポイント上回るのが一般的だと指摘した。現在の10年債利回りは4.3%前後。

ただ、同氏は今回の見通しについて「当面はどちらの方向も全く劇的なものではない」と付け加えた。

グロース氏は4月上旬、米国の関税を巡る混乱が広がる中、押し目買いを狙う投資家に対し様子見を続けるよう勧め、「『落ちるナイフをつかもう』とするべきではない」と忠告。同氏は当時、トランプ米大統領が関税政策を「当分撤回できないだろう」と警告していた。

原題:Bill Gross Sees ‘Little Bear Market’ in Bonds, Bullish on Stocks(抜粋)

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