ゴールドマン・サックスのグローバル・レポ取引責任者リチャード・チェンバース氏は、外国人投資家による為替ヘッジの拡大を背景に、年初からのドル安基調がさらに進行する可能性があるとの見方を示した。

チェンバース氏は、ニューヨークで開かれた国際スワップ・デリバティブ協会(ISDA)主催のイベントで、「市場のボラティリティー(変動性)上昇を背景に、為替ヘッジ比率は高まると予想している」と発言。その上で「ドル安や為替ヘッジ比率の上昇、今後の米国債購入が為替ヘッジ付きで行われる傾向といったテーマは、1年前よりもはるかに一般的になるとみている」と語った。

ブルームバーグ・ドル指数は今年に入り8%超下落し、年初からの下げは過去最大となっている。トランプ米大統領の不安定な政策運営が世界の金融市場を混乱させ、投資家心理を動揺させたことが背景にある。外国人による米国の証券保有額(株式、国債、社債などを含む)は過去10年で2倍に膨らみ、現在では31兆ドル(約4500兆円)に達している。

現時点では、外国人投資家が米国債市場から一斉に撤退する兆しは少ないものの、チェンバース氏は外国人需要が減退していくと予想。その理由として、欧州諸国が財政支出と借り入れを拡大する中で、欧州投資家が域内市場にとどまる可能性がある点を挙げ、ユーロが代替準備通貨としての市場を広げつつあると指摘した。

その結果、米国は増加する債務の消化を国内投資家に頼らざるを得なくなり、「金融システムにレバレッジを提供する仲介能力への依存が強まる」と同氏は付け加えた。

原題:Goldman’s Chambers Sees Currency Hedges Accelerate Dollar’s Fall(抜粋)

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