25日の外国為替市場の円相場は一時1ドル=144円台半ばに上昇。日本銀行の田村直樹審議委員の講演を受け、円買いが入った。

田村委員は福島県金融経済懇談会で講演し、物価安定目標の実現の確度が高まる、あるいは物価上振れリスクが高まる場合には、たとえ不確実性が高い状況にあっても果断に対応すべき場面もあり得るとの見解を示した。

ソニーフィナンシャルグループの石川久美子シニアアナリストは、ドルは米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が7月の利下げを完全に否定しなかったという理由だけで売られ、売り材料に強く反応しやすい地合いが続いていると分析。田村委員の講演については「元々タカ派で、サプライズはない」と指摘した。

石川氏は、ドルは有事の買いが始まる前の水準に近づいていることに加え、ドル買いポジションの解消はほぼ終了したとの認識で、ドルの短期的な下値めどは144円台半ばとみている。

朝方は、6月の日銀金融政策決定会合の主な意見の公表後にドルが買われ、円が売られる場面もあった。主な意見では「物価がやや上振れているとはいえ、米国関税政策や中東情勢に伴う景気の下方リスクを勘案し、金融政策運営は現状維持が適当」との声が出た。

りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは、同会合後の植田和男総裁の会見でハト派的な発言が目立っただけに、主な意見にはサプライズはないと言う。ただ、ドルが節目の145円を割り込んだこともあり、「押し目買いが入った可能性がある」と言う。

 

24日の米国市場ではパウエルFRB議長の発言に加え、イスラエル・イランの停戦合意を受けて原油先物が下落し、長期金利が低下したことがドル安材料となった。ブルームバーグ・ドル指数は0.6%下落、米10年債利回りは5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い4.29%。米スワップ市場で年内少なくとも2回の利下げに対する織り込みがやや強まった。

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