(ブルームバーグ):イスラエルとイランの1週間に及ぶ戦争の緊張緩和を目指す協議が、20日にスイス・ジュネーブで始まった。トランプ米大統領が軍事介入を判断する前に外交的に解決する機会を与える意向を示し、協議の実施が後押しされた。
イランのアラグチ外相は、英仏独の3カ国外相と会談し、イスラエルとの戦争を巡る「核および地域問題」を話し合うと説明した。マクロン仏大統領ら複数の首脳がイランに核開発を巡る交渉に戻るよう呼び掛けており、これに応じた格好だ。
ロイター通信はイランにウラン濃縮の制限を議論する用意があると報じ、原油価格は下落した。だが、軍事的な攻撃を受けている間は、濃縮活動の完全な停止は検討しないという。
イランは米国との交渉が続いていた際、濃縮活動への一定の制限を受け入れる考えを示していた。だが、イスラエルと米国は、イランのウラン濃縮は全て認められるべきではないと主張している。
アラグチ外相は20日、国連人権理事会で、イランは核問題解決を前進させる「成功の見込みが高い合意を練り上げる」ため米国との次回会合を予定していたが、イスラエルの攻撃で外交的な取り組みが阻害されたと非難した。
イスラエルは先週、宿敵であるイランの核兵器保有は断固阻止する必要があると主張し、同国に奇襲攻撃を仕掛けた。これにイランは多数のミサイルとドローン(無人機)で報復し、双方に多くの死傷者が発生した。
ややトーンダウン?
トランプ米大統領は20日、ホワイトハウスの大統領執務室で国家安全保障会議に出席する予定。過去数日には米国の攻撃参加を公の場でにおわせたこともあったが、テヘラン市民への退去要求やイラン最高指導者のハメネイ師へのどう喝など強硬な発言を続けた後、ややトーンダウンした様子も見える。
イスラエルに引き下がる兆しは見られない。同国のカッツ国防相は20日、イランの核関連施設および核科学者に対する攻撃を継続し、テヘラン市民の大規模な退去を引き起こすよう軍に指示した。イランの体制転換も取り組みの一部だと、カッツ氏は述べた。
また、イスラエルのコーエン・エネルギー相は軍のラジオに対し、米国が作戦に参加しようとしまいと、イランに核兵器を保有させないと語ったうえで、米国が参加するなら助けになると付け加えた。
イスラエル軍は20日、イランのミサイル製造拠点や国内治安維持部隊のテヘラン本部、核兵器開発プログラムの調査・開発部門など数十の標的に新たな空爆を実施したと発表した。一方、イスラエル消防当局によると、テルアビブや同国南部に複数のミサイルが着弾した。

ラミー英外相は「中東情勢は依然として危険な状態にある」と発表文で指摘。「外交的解決を実現するためのチャンスが、今後2週間のうちにある」との認識を示した。
ラミー氏は19日、ホワイトハウスで米国のルビオ国務長官およびウィトコフ中東担当特使と会談。イタリアのタヤーニ外相も同日、ルビオ氏、アラグチ氏とそれぞれ電話会談を行った。
一方、ドイツのメルツ首相とトルコのエルドアン大統領は20日の電話会談で、緊張緩和が不可欠であり、イランの核兵器保有は容認されないとの認識で一致した。

イスラエルとイランの戦争について、ブルームバーグテレビジョンのインタビューに20日応じたリーフ元米国務次官補(中東問題担当)は「これが終わりの見えない展開に陥ることを、誰もが恐れ始めている」と指摘。イスラエルの狙いは核や軍事的な標的への攻撃から「より大きな目標、つまり体制転換」に移ったとの見解を示した。
原題:European Nations Lead Push for De-escalation in Israel-Iran War(抜粋)
--取材協力:Iain Rogers、Chris Martlew、Ellen Milligan、Jon Herskovitz、Michael Heath、Jessica Loudis、Carla Canivete、John Bowker、Akayla Gardner、Dan Williams、Donato Paolo Mancini、Tuhin Kar、Golnar Motevalli.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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