エジプト北部の地中海沿岸で検討されている観光プロジェクトを巡り、中東カタールが35億ドル(約5080億円)を投資する方向で協議に入っている。交渉は進展した段階にあり、実現すれば地域紛争の影響を受けるエジプト経済への湾岸諸国の新たな支援となる。

事情に詳しい複数の関係者によると、交渉が進められている取引はエジプト有数のリゾートエリアの土地開発が対象で、今年末までに契約が締結される可能性がある。非公開の協議だとして匿名を条件に話した関係者は、開発予定地の具体的な場所や敷地面積に関しては明らかにしなかった。

昨年には、アラブ首長国連邦(UAE)がエジプトに350億ドルを投資することで合意。これには地中海沿岸の開発も入っていた。2年にわたる経済危機やイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘による影響に対処する上で、これはエジプトにとって極めて重要だった。

さらに、イスラエルとイランの衝突でエジプトには新たな圧力が加わる恐れがあり、外国からの安定的な投資確保が一段と重要になっている。イスラエルが先週、前例のない空爆をイランに始めたことで、エジプトのドル建て債は下落。通貨も下げ、株式相場は5年ぶりの下落率を記録した。

また、イスラエルからの天然ガス輸入が一時停止したことで、エジプトは一部産業向けの供給を取りやめ、発電所では停電を避けるため、ディーゼル燃料への切り替えを余儀なくされた。6日間にわたり輸入できていなかったエジプトは19日、イスラエルからガス供給をようやく一部受けられるようになった。

関係者によると、カタール側との想定される契約では、締結後間もなく10億ドルが支払われ、残りについてはその後1年をかけて提供される方向だ。

エジプトとカタールの当局者にコメントを求めたが、返答がなかった。両国は4月、エジプトへの75億ドル相当の投資パッケージの実現に向けて取り組むと発表していた。

取引が成立すれば、エネルギー資源に恵まれたカタールがエジプト経済の再建に深く関与することになる。エジプト政府は輸入依存型の経済を再構築するとしており、国際通貨基金(IMF)や欧州連合(EU)などから総額570億ドルの支援を取り付けた。

一方、中東最大の経済規模を誇るサウジアラビアはこうした流れに加わる用意ができていないようだ。エジプトは昨年、サウジの政府系ファンドが50億ドルを投資する方向だと発表したが、実現には至っていない。

事情に詳しい複数の関係者によれば、サウジとの取引は視野に入っておらず、年内に動きがある可能性は低いという。

原題:Qatar Weighs $3.5 Billion Tourism Deal on Egypt’s Med Coast (1)(抜粋)

--取材協力:Fiona MacDonald.

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